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老け顔の人では虚血性心疾患の発症リスクが上昇
Aging Signs Predict Risk of Ischemic Vascular Disease Independent of Chronological Age
前頭部の脱毛や耳たぶの深い溝など見た目の老化サインが多い,いわゆる“老け顔”の人では,虚血性心疾患の発症リスクが高いことが明らかになった。デンマーク・コペンハーゲン大学のAnne Tybjaerg-Hansen氏が報告した。
対象は,循環器疾患のコホート研究であるCopenhagen City Heart Studyの参加者10,885人。1976~2011年の35年間追跡し,虚血性心疾患の発症率と見た目の老化サイン(前頭部または頭頂部の脱毛,耳たぶの深い溝など)の関係を調べた。各参加者の見た目の老化サインは,事前に定められた基準に従ってベースライン時に登録された(まぶたの黄色腫が488人,耳たぶの深い溝が2,435人,前頭部の脱毛が5,526人,頭頂部の脱毛が2,813人)。
追跡の結果,35年間で虚血性心疾患が3,401人,心筋梗塞が1,708人に発症した。老化サインごとの心筋梗塞発症リスクは,まぶたの黄色腫がある場合35%,耳たぶの深い溝がある場合11%,男性で前頭部または頭頂部の脱毛がある場合にそれぞれ40%と14%,老化サインがない場合に比べて高かった。
老化サインの集積数でみると,サインの数が増えるにしたがって,心筋梗塞の発症率とハザード比がそれぞれ有意に上昇した(p<0.0001)。この傾向はいずれの性別,年齢層でも認められ,70歳代で3~4つの老化サインを持つ人で虚血性心疾患の発症リスクが最も高かった。
これらの結果を受けて,Tybjaerg-Hansen氏は“The visible signs of aging reflect physiologic or biological age, not chronological age, and are independent of chronological age”と述べ,さらに“Checking these visible aging signs should be a routine part of every doctor’s physical examination”と強調した。(北川由美子・医学ライター)
■試験の概要
対象
Copenhagen City Heart Studyの40歳以上の参加者10,885人
方法
前向きコホート研究
結果
老化サイン | ハザード比* (多数因子**で補正後) |
まぶたの黄色腫 | 1.35 |
耳たぶの深い溝 | 1.11 |
男性の前頭部の脱毛 | 1.40 |
男性の頭頂部の脱毛 | 1.14 |
*それぞれのサインがない場合を1とした時のハザード比 **年齢,性別,総コレステロール値,トリグリセリド値,BMI,高血圧,糖尿病,喫煙,飲酒,身体的活動性,閉経,ホルモン補充療法,教育,収入,虚血性心疾患の家族歴 |