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抗PCSK9モノクローナル抗体製剤AMG145により家族性高コレステロール血症患者のLDLコレステロール値が大幅に低下(RUTHERFORD試験)

Reduction of LDL-C with PCSK9 Inhibition in Heterozygous Familial Hypercholesterolemia Disorder (RUTHERFORD): Results from a Phase 2, Randomized, Double-blind, Placebo-controlled Trial

抗PCSK9モノクローナル抗体製剤AMG145により家族性高コレステロール血症患者のLDLコレステロール値が大幅に低下(RUTHERFORD試験)

 ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症患者を対象とした試験で,抗PCSK9モノクローナル抗体製剤のAMG145によりLDLコレステロール値が43~55%低下したことが示された。南アフリカ・ウィットウォーターズランド大学のFrederick Raal氏が報告した。

 PCSK9は,プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型の略称で,血中から細胞内へLDLコレステロールを取り込む際に重要な働きをするLDL受容体を分解する酵素。AMG145はこのPCSK9と結合してLDL受容体の分解を阻害し,LDL受容体を増加させ,血中LDLコレステロール濃度を低下させる従来にない作用機序を持つ。

 本試験の対象は,スタチンなど既存の脂質異常症治療薬で治療してもLDLコレステロール値が100mg/dL以上のヘテロ接合性家族性高コレステロール血症患者167人。これらの患者にAMG145を,4週毎に350mg皮下注射する群(350mg群),4週毎に420mg皮下注射する群(420mg群),プラセボ群に無作為に割り付け,12週後のLDLコレステロール値を比較した。

 その結果,12週後のLDLコレステロール値の低下度は,350mg群と420mg群のいずれもプラセボ群より有意に大きかった(-43%,-55% vs. +1%)。

 主な有害事象は鼻咽頭炎,注射部位の痛み,頭痛などで,有害事象プロファイルはプラセボ群とAMG145を投与した各群とで大きな違いはなかった。また,重篤な有害事象が420mg群で2人に認められたが,AMG145との関連はなく,忍容性は良好だった。

 これらの結果を受けてRaal氏は,“AMG145 may offer a new effective treatment option to further reduce LDL-cholesterol in Heterozygous familial hypercholesterolemia patients unable to achieve optimal LDL-cholesterol targets on current medications”と述べ,脂質異常症の新たな治療選択肢の登場を示唆した。(北川由美子・医学ライター)

■試験の概要
対象
従来の脂質異常症治療薬で治療*してもLDLコレステロール値の目標値を達成できないヘテロ接合性家族性高コレステロール血症患者167人
 *スタチン,エゼチミブ,胆汁酸抑制薬,ナイアシンなどによる最低4週間の治療
・18~75歳
・Simon Broome基準により家族性高コレステロール血症と診断
・血中LDLコレステロール値≧100mg/dL
・血中トリグリセリド値≦400mg/dL

方法
国際共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験(第II相試験)
・350mg群:55人(AMG145 1回350mgを4週毎に皮下注射)
・420mg群:56人(AMG145 1回420mgを4週毎に皮下注射)
・プラセボ群:56人(プラセボを4週毎に皮下注射)

結果


 

350mg群

420mg群

プラセボ群


<一次エンドポイント>
LDLコレステロール値の低下度(%) -43* -55* +1

<安全性>      
治療中に発生または悪化した有害事象 n(%) 32(58.2) 37(66.1)

33(58.9)

主な有害事象 n(%)      
 鼻咽頭炎 7(12.7) 7(12.5) 6(10.7)
 注射部位の痛み 5(9.1) 2(3.6) 1(1.8)
 頭痛 3(5.5) 3(5.4) 5(8.9)
重篤な有害事象 n(%) 0(0) 2(3.6)** 0(0)

※血中LDLコレステロール値は超遠心分離法で測定
*p<0.001 vs. プラセボ群 **心房細動,急性虫垂炎の術後創傷感染症が各1例,薬剤との関連なし

 

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