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モノクローナル抗体によるPAM4抗原の検査で,早期の膵管癌患者の約2/3を同定
Detection of Early-Stage Pancreatic Ductal Adenocarcinoma: Sensitivity, Specificity, and Discriminatory Properties of the Serum-Based PAM4-Immunoassay
膵癌はあまり症状が現れないまま進行し,診断されたときにはすでに治癒できない状態になっていることが多いため,早期発見の方法が模索されている。米国・ガーデンステイトがんセンターのDaniel V. Gold氏らは,モノクローナル抗体PAM4を用いた血液検査によって,膵癌のおよそ9割を占める膵管癌患者の約2/3を,早期の段階で同定できたと報告した。
解析対象は,膵管癌,その他の癌,良性の膵臓疾患,健康な成人の合計634人。これらの患者について盲検下で,酸素免疫法により血清中PAM4抗原レベルを測定した。
検査の結果,膵管癌患者の76%がPAM4陽性で,I期の患者でも64%が陽性だった。慢性膵炎の患者ではPAM4陽性は23%だった。また,膵管癌と慢性膵炎の鑑別では,PAM4検査の感度は74%,特異度は86%で,腫瘍マーカー・CA19-9の検査と組み合わせることで,感度が84%に上昇した。膵管癌と良性の膵臓疾患の鑑別でも同様の傾向だった。さらに組織検体を用いた検討でも,良性の膵臓疾患ではPAM4が陰性で,膵管癌との鑑別が可能だった。
Gold氏は,“These study results are extremely encouraging and may eventually lead to improved detection of the disease in high-risk individuals. To the best of our knowledge, there are no biomarkers or target antigens that are expressed at a similarly high frequency and concentration in PDAC, and which show such specificity.”(PDAC:膵管癌)と述べて報告を締めくくった。(越山みどり)
■試験の概要
対象 | 膵管癌,その他の癌,良性の膵臓疾患,健康な成人,合計634人 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
方法 | モノクローナル抗体を用いた酸素免疫法で血清中のPAM4抗原レベルを測定 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
結果
*血漿中濃度曲線下面積 |