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早期乳癌の術後放射線療法は,照射回数と総線量を減らしても再発予防効果は良好

Hypofractionation for early breast cancer: First results of the UK standardisation of breast radiotherapy (START)試験

早期乳癌の術後放射線療法は,照射回数と総線量を減らしても再発予防効果は良好

 早期乳癌では,術後に再発予防のため放射線療法を行うことが多いが,有害事象を抑えながらより高い効果を得るため,最適な1回線量,照射回数,総線量についての検討が重ねられている。近年では,1回線量は少なく照射回数の多い50Gy/25分割(1回線量は2.0Gy)がよいとされているが,ダンディー大学のJohn A. Dewar氏らは,早期乳癌患者約4,500例を対象に行った試験から,1回線量を増やして照射回数や総線量を減らしても,5年局所再発率に差がないことを報告した。また,通常,1回線量を増やすことで有害事象の増加が懸念されるが,本試験では有意な増加はみられなかったため,患者のQOLや費用対効果の点からも,期待の持てる結果となった。

 今回の報告を行ったJohn A. Dewar氏は,この試験結果から,患者の負担を減らせるかもしれないと,次のように述べた。"Women can safely undergo a less demanding course of radiation therapy without appearing to increase their risk of reccurence."

 ただし,全体の5年局所再発率が3.4%と低かったことから,"it is not possible to say for certain whether recurrence rates among women who received hypofractionated radiotherapy may change with additional time"と述べ,さらなる試験が必要との見解を示した。

■試験の概要

<対象>   早期乳癌患者 4,451例
<方法>   術後放射線療法に関する多施設共同ランダム化試験(Phase III)
 ST-A試験=2,236例
  41.6Gy/13分割/5週群=737例
  39.0Gy/13分割/5週群=750例
  50Gy/25分割/5週群(対照群)=749例
 ST-B試験=2,315例
  40Gy/15分割/3週群=1,110例
  50Gy/25分割/5週群(対照群)=1,105例
<結果> ・一次エンドポイント:局所再発率
     ST-A試験
  41.6Gy群 vs 対照群:ハザード比1.05(95%CI 0.63~1.75)
  39.0Gy群 vs 対照群:ハザード比1.26(95%CI 0.77~2.08)
 ST-B試験
  40Gy群 vs 対照群:ハザード比0.79(95%CI 0.48~1.29)
  ・二次エンドポイント:有害事象(萎縮,硬結,毛細血管拡張,浮腫)
     ST-A試験
  41.6Gy群≒対照群
  39.0Gy群<対照群
 ST-B試験
  40Gy群<対照群
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