Home > 海外学会プラスE|2008 > AHA 2008 > 拡張期心不全に対する薬物療法確立はなお五里霧中:ARBの予後改善効果は確認できず

ニュース

拡張期心不全に対する薬物療法確立はなお五里霧中:ARBの予後改善効果は確認できず

Irbesartan in Patients with Heart Failure and Preserved Ejection Fraction(I-Preserve試験)

拡張期心不全に対する薬物療法確立はなお五里霧中:ARBの予後改善効果は確認できず

 これまで心不全は,心臓の収縮機能の低下によって発症する収縮期心不全が多いと考えられていた。しかし最近では,心不全患者の半数近くは,収縮機能は保たれているが拡張機能が障害されている拡張期心不全であることが分かってきた。拡張期心不全は,高齢者,なかでも女性に多く,高血圧がその大きな原因になっていると考えられている。社会の高齢化に伴い,ますます増加すると予想されるが,現在のところ確立された治療法はない。

 そこで,ワシントン・退役軍人メディカルセンターのPeter E Carson氏らは,通常の薬物治療を受けている拡張期心不全患者に,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)のイルベサルタンを追加投与することで,予後が改善するかどうか検討を行った。

 その結果,一次エンドポイントの「全死亡+心血管病による入院」はイルベサルタン群とプラセボ群との間で有意差がなく,二次エンドポイント(全死亡,心血管死など)やサブグループ別解析でも有意差はみられなかった。一方,安全性に関しては,両群間で有意差がなく,拡張期心不全に対するイルベサルタン投与は安全であることが示された。

 今回の試験は,拡張期心不全に対するARBの初のエビデンスになるのではないかと期待されていたが,本疾患への治療の難しさを物語る結果となった。最後にCarson氏は,“In order for this field to move forward, a better understanding is needed of the mechanisms underlying this syndrome and additional potential targets for treatment.”と述べ,発表を締めくくった。

■試験の概要

対象   60歳以上の心不全症状のある拡張期心不全患者4,128例
 ・左室駆出率45%以上
 ・ニューヨーク心臓協会心機能分類(NYHA)II~IV度で
  過去6カ月以内に心不全による入院あり,もしくはNYHA III~IV度
     
方法   多施設共同・無作為化二重盲検プラセボ対照試験
イルベサルタン群(75mg/日で開始し300mg/日まで増量): 2,067名
プラセボ群: 2,061名
     
追跡期間   49.5カ月
     
結果   intention-to-treat解析
・一次エンドポイント
  全死亡+心血管病(心不全,心筋梗塞,不安定狭心症,脳卒中,心室性・心房性不整脈)による入院:ハザード比0.95(95%信頼区間0.86~1.05) p=0.35
・二次エンドポイント
  全死亡,心血管死,心不全による死亡もしくは入院,心血管死+心筋梗塞+脳卒中,QOL,NT-proBNPの変化:いずれも有意差なし
・安全性
  有害事象発生率:有意差なし
Home > 海外学会プラスE|2008 > AHA 2008 > 拡張期心不全に対する薬物療法確立はなお五里霧中:ARBの予後改善効果は確認できず
海外学会プラスE
Weekly Topic

ニュースリリースで医学英語を学ぼう!
日本語要約と単語和訳付きです。

★注目トピック

テロメアで余命が分かる?
テロメア(染色体の末端部にあるDNA鎖)の長さにより,平均余命が予測できることが明らかになった。テ…

使えるワンフレーズ

外国人の患者さんとナースとのやりとりを軸に展開するストーリーです。リスニング学習にうってつけです。

★No.30 今週のフレーズ

最初の診察日は来週の水曜日になります。

メディカル英単語

毎回,3つの英単語を楽しく覚えようというムービープログラムです。

★No.64 今週の英単語

流動食|経管栄養|非経口栄養

医学ニュース de 英語

スマイリーのバイリンガル
医学ニュース
 

バイリンガル・パーソナリティのスマイリーが,英語と日本語のチャンポンでお届けする楽しいポッドキャスト番組です。

No.9 米国心臓協会年次学術集会より:“老け顔”の人は心疾患にご用心?!