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Everolimusは既存の分子標的薬に無効となった転移性腎細胞癌患者の治療薬として有望(RECORD-1試験)
RAD001(everolimus) plus best supportive care (BSC) vs BSC plus placebo in patients with metastatic renal cell carcinoma (RCC), after progression on VEGFr-TKI therapy
転移性腎細胞癌の治療には,VEGFR(血管内皮増殖因子受容体)などを標的とするマルチターゲット型の分子標的薬,ソラフェニブやスニチニブが広く使われている。米国・ニューヨークのメモリアル・スローン・ケタリング癌センターのRobert J. Motzer氏らは,これらの薬剤に抵抗性となった転移性腎細胞癌に対して,経口剤のmTOR(ラパマイシン標的たんぱく)阻害薬everolimusを用いた多施設共同第III相試験(RECORD-1試験)を実施した。
本試験では,ソラフェニブやスニチニブが無効となった転移性明細胞腎癌を,everolimus群とプラセボ群に2:1に無作為に割り付けた。一次エンドポイントの無増悪生存期間はプラセボ群に比べてeverolimus群で有意に延長し,患者背景因子別(MSKCCリスク分類,前治療薬,年齢,性別,地域)の解析でも同様の結果であった。二次エンドポイントでは,生存期間中央値がプラセボ群で8.8カ月,一方,everolimus群ではさらに延長傾向を示しており,現在も追跡中だ。なお,プラセボ群の81%の患者には後治療としてeverolimusが投与されていた。またeverolimus群のgrade 3以上の有害事象はいずれも3%以下と軽度だった。
これらの結果からMotzer氏は,"This study has given us a new and clearly useful tool for treating renal cell tumors. It's an important step forward for patients living with this disease."とまとめ,"In the future, kidney cancer is likely to be managed as a chronic disease with treatments including this one."と将来展望を示した。
■試験の概要
<対象> | 明細胞型の転移性腎癌で,ソラフェニブまたはスニチニブ(両剤も可)投与後6カ月以内に病勢が進行した患者410例(前治療薬としてベバシズマブ,サイトカインは可とする) | |||||||||||||||||||||
<方法> | 多施設共同無作為化第III相試験 | |||||||||||||||||||||
・everolimus群:272例 everolimus 10mg/日<4週毎>+支持療法 ・プラセボ群:138例 プラセボ<4週毎>+支持療法 |
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<結果> | ・一次エンドポイント | |||||||||||||||||||||
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・二次エンドポイント | ||||||||||||||||||||||
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