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軽症心不全患者に対するCRTデバイスの有用性は明確にならず

Resynchronization reverses remodeling in systolic left ventricular dysfunction(REVERSE試験)

軽症心不全患者に対するCRTデバイスの有用性は明確にならず

 重症心不全患者では心臓再同期療法(CRT)により予後が改善することが確認されているが,軽症心不全患者に対してもCRT療法が有効であるかどうかは明らかではない。そこで,スウェーデン・カロリンスカ大学のCecilia Linde氏らは,軽症心不全患者にCRTデバイスを植え込むことで,心不全の悪化が抑えられるかどうか検討を行い,今回のACCでその結果を発表した。

 対象となったのは,至適薬物療法を実施している軽症心不全患者である。これらの患者にCRTデバイスを植え込んだ後,CRTを作動させるCRT-ON群と作動させないCRT-OFF群に無作為に割り付けた。12カ月追跡した結果,一次エンドポイントである心不全に関連するイベントの「悪化」は,CRT-ON群で低下傾向がみられたものの有意差には至らなかった。しかし,「悪化」「変化なし」「改善」の割合を総合的に評価したところ,CRT-ON群で有意に良好となり,CRT療法によって心不全の進行が抑制される可能性もあることが示唆された。また,二次エンドポイントの左室リモデリングの各指標,および心不全による入院率はCRT-ON群で有意に改善した。

 以上からLinde氏は,“REVERSE demonstrates that CRT, in combination with optimal medical therapy reverses left ventricular remodeling in asymptomatic and mildly symptomatic heart failure patients”と述べ,CRTデバイス+至適薬物療法による心不全の進行抑制効果は明確にはされなかったが,左室リモデリングの改善には寄与しているとの見解を示した。

■試験の概要

<対象>   無症状または軽症心不全患者(NYHAクラス分類ⅠまたはⅡ,QRS幅>120秒,LVEF≦40%など)で,至適薬物療法を実施している610例
     
<方法>   国際多施設共同・無作為化二重盲検比較試験
 CRT-ON群 :419例
 CRT-OFF群:191例
  ※両群で薬物療法は継続
     
<追跡期間>   12カ月
     
<結果>   いずれもCRT-ON群 vs CRT-OFF群
・一次エンドポイント:心不全の複合イベント*の「悪化」
   16% vs. 21% p=0.10
*総死亡+心不全による入院+心不全の悪化など

 ○関連解析:「悪化・変化なし・改善」の割合の総合評価
   16%・30%・54% vs. 21%・39%・40% p=0.004
       
・二次エンドポイント:左室リモデリングの各指標
  左室収縮終期容積係数(LVESVi)の変化
   -18.4 mL/m2 vs. -1.3 mL/m2 p<0.0001
  左室駆出率(LVEF)の変化
   3.8% vs. 0.6%  p<0.0001
  心不全による入院率
   ハザード比0.47,p=0.03
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