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80歳以上の高齢者でも降圧薬治療により脳卒中,総死亡のリスクが低下

Hypertension in the very elderly trial(HYVET試験)

80歳以上の高齢者でも降圧薬治療により脳卒中,総死亡のリスクが低下

 高齢者でも積極的な降圧薬治療によって予後改善効果が得られるのだろうか? 高齢者に降圧薬治療を行うと,脳卒中の発症リスクは低下するものの総死亡率は逆に上昇するというメタ解析もあり,その意義については議論の分かれるところであった。これに決着を付ける試験結果が,ロンドン大学インペリアル・カレッジのNigel S. Beckett氏によって発表された。

 Beckett氏らは,80歳以上の高齢者を対象に大規模臨床試験を実施。降圧薬治療群にはサイアザイド系類似利尿薬であるインダパミド徐放薬を投与し(必要に応じてACE阻害薬を追加),プラセボ投与群と比較した。その結果,一次エンドポイントの全脳卒中の発症リスクは,降圧薬治療群でほぼ有意に30%低下することが確認された。また,注目された二次エンドポイントの総死亡リスクも有意に21%低下していた。一方,治療に関連すると思われる重篤な有害事象は,降圧薬治療群で3例(プラセボ群2例)に過ぎず,安全性も示された。

 以上の結果からBeckett氏は“These results will have important implications for the generation of future guidelines and mean that very elderly individuals with sustained systolic blood pressures of 160 mmHg or more should now be appropriately assessed and treated in accordance with the new finding”と述べ,高齢の高血圧患者でも降圧薬治療が重要であることを強調した。

■試験の概要

<対象>   80歳以上の高血圧患者3,845例
 (収縮期血圧 160~199 mmHg,拡張期血圧 110 mmHg未満)
     
<方法>   国際多施設共同・無作為化二重盲検プラセボ対照試験
 降圧薬治療群(インダパミド徐放薬±ペリンドプリル):1,933例
 プラセボ群:1,912例
   ※降圧目標:150/80 mmHg
     
<追跡期間>   1.8年(中央値)
     
<結果>   intent-to-treat解析,ハザード比
・一次エンドポイント
  全脳卒中(致死性+非致死性) 0.70(95%CI:0.49~1.01) p=0.055
・二次エンドポイント
  総死亡 0.79(95%CI:0.65~0.95) p=0.019
  脳卒中による死亡 0.61(95%CI:0.38~0.99) p=0.046
  心不全 0.36(95%CI:0.22~0.58) p<0.0001
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