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新しく開発された定常流型補助人工心臓で重症心不全患者の生存率が大幅に改善

Improved Outcomes in Advanced Heart Failure Patients Treated with a Continuous Flow LVAD(HeartMate II Destination Therapy試験)

新しく開発された定常流型補助人工心臓で重症心不全患者の生存率が大幅に改善

 薬物治療の効果が低く移植もできない心不全患者に,新しいデバイスである定常流型補助人工心臓(CF LVAD)を試したところ,現在の拍動流型(PF LVAD)と比べ,大幅に生命予後を改善することが分かった。デューク大学医療センターのJoseph G Rogers氏らが,米国38カ所の病院で,心不全患者にこれらのデバイスを埋め込み,予後への影響を比較した。

 この新しいデバイス・CF LVADは現在のPF LVADに比べて軽く,音も静かな上に構造が単純なため故障しにくい。研究者らは200人の心不全患者をCF LVAD(CF群)またはPF LVAD(PF群)に無作為に割り付け,2年間追跡した。一次エンドポイントは,機能障害の後遺症がある脳卒中やデバイスの再埋め込み手術を伴わない生存率だった。

 追跡の結果,一次エンドポイントはPF群で11%だったのに対し,CF群では46%と大幅な改善がみられた。また,感染や不整脈,呼吸不全,再入院といった有害事象はPF群と比べ有意に減少し,QOLや身体機能の向上も認められた。

 重症心不全の患者は米国だけで15万人にも上るが,ドナーは毎年2,100人に過ぎないという現状から,Rogers氏は “We believe that with improved technology and management strategies, LVADs will fill this important gap.”と述べ,人工心臓による長期サポートの可能性に期待感を示した。(関 紗由里)

■試験の概要

対象   重症心不全患者200名
 ・心臓移植不適格かつ最適な心不全薬物治療に抵抗性
     
方法   多施設共同・無作為化比較試験
 ・CF(定常流型補助人工心臓)群:134名
 ・PF(拍動流型人工心臓)群:66名
     
追跡期間   24カ月
     
結果    
  CF群 PF群 p値
一次エンドポイント* 46%(62/134) 11%(7/66) <0.001
二次エンドポイント
 Actuarial 生存率**
58% 24% 0.008
*機能障害の後遺症がある脳卒中またはデバイス再埋め込みを伴わない生存率, intention-to-treat解析による
** Kaplan-Meier法,as-treated解析による
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