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ロサルタンの高用量投与は低用量投与と比べ心不全患者の臨床予後を有意に改善

Heart Failure Endpoint Evaluation with the Angiotensin II Antagonist Losartan (HEAAL試験)

ロサルタンの高用量投与は低用量投与と比べ心不全患者の臨床予後を有意に改善

 ACE阻害薬不耐性の心不全患者にロサルタン(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬;ARB)を高用量で投与すると,低用量のときよりも心不全による臨床予後が改善されることが分かった。ARBの用量依存的な臨床予後への効果は,これまで明らかにされていなかった。ボストンのタフツ大学医学部教授Marvin A Konstam氏らの報告である。

 この試験には30カ国255地域が参加した。対象となったのは左室駆出率40%以下でACE阻害薬不耐性の心不全患者約3,800人。これらの患者をロサルタン低用量群と高用量群に無作為に割り付け,約5年間追跡した。一次エンドポイントは死亡または心不全による入院の複合イベントだった。

 その結果,一次エンドポイントは高用量群の方が低用量群より有意に低率であることが明らかになった。一次エンドポイントの項目別にみると,死亡は低用量群と高用量群とで有意差はなかったが,心不全による入院は高用量群の方が低用量群よりも有意に少なかった。有害事象では,腎障害,低血圧症,高カリウム血症の頻度が高用量群で有意に上昇したが,治療中止に至るほどでないものがほとんどだった。

 これらの結果から,心不全患者ではロサルタンの低用量よりも高用量の方が高い効果が得られることが分かった。Konstam氏は,”We were able to document that the higher of the two losartan doses we compared was needed to achieve the optimal benefit on both outcomes and symptoms”と述べ,この試験の意義を強調した。(関 紗由里)

■試験の概要

対象   心不全患者3,846名
 ・NYHA心機能分類II~IV度
 ・左室駆出率40%以下
 ・ACE阻害薬不耐性
     
方法   国際多施設共同・二重盲検無作為化比較試験
 ・ロサルタン高用量群(150mg/日):1,927名
 ・ロサルタン低用量群(50mg/日):1,919名
     
追跡期間   4.7年(中央値)
     
結果    
  ロサルタン高用量
n(100人年当たり)
ロサルタン低用量
n(100人年当たり)
p値
一次エンドポイント
(死亡または心不全による入院)
828(11.1) 889(12.4) 0.027
  死亡 635(7.6) 665(8.2) 0.24
  心不全による入院 450(6.0) 503(7.0) 0.025
二次エンドポイント
(死亡または心血管病による入院)
1,037(15.6) 1,085(17.0) 0.068
  心血管病による入院 762(11.5) 826(12.9) 0.023
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