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CT検査で古代ミイラにも現代病のアテローム動脈硬化症が見つかる

Atherosclerosis: Not Just a Disease of Contemporary Humans

CT検査で古代ミイラにも現代病のアテローム動脈硬化症が見つかる

 現代病と考えられている動脈硬化が3500年前にも存在していたことが,ミイラへのCT検査によって明らかになった。脂肪分の多い食品や加工食品の摂取,運動不足が肥満の原因となり,アテローム動脈硬化症などの危険を現代人にもたらすと考えられているが,より健康的な生活を送ったはずの古代人も,動脈硬化と無縁ではなかったようだ。中部アメリカ心臓研究所のRandall C Thompson氏らが,ミイラ22体にCT検査を行い,アテローム動脈硬化症の徴候があることを突き止めた。

 スキャン対象に選ばれたのは,エジプト考古学博物館に収蔵されたミイラのうち保存状態がよかった22体。生物学的人類学による評価から,これらのミイラが紀元前1981年から紀元前334年の間に生存していたことや,性別,だいたいの年齢などが判明した。

 CT検査で心臓組織や大動脈,または末梢血管の識別が可能だったのは22体中16体だった。このうち9体(56%)はアテローム動脈硬化症と診断,または疑いのあることが分かった。この9体のうち7体(78%)は45歳以上だった。

 ミイラとして葬られたのが上層階級,特に王家の人々だったことを考えると,生前の運動量は労働者よりもずっと少なかったと推測される。45歳以上という当時にしてはとても高い年齢層の人が少なくないのも,身分の高さゆえだろう。このように試験対象は特殊な階層ではあったが,研究者らは,”The findings provide evidence that humans in ancient times had the genetic predisposition and environment to promote atherosclerosis”と結論し,アテローム動脈硬化症は現代だけの病気ではないと考察した。(関 紗由里)

■試験の概要

対象   エジプト考古学博物館に収蔵された保存状態のよいミイラ22体
     
検査方法   ・血管と心臓の石灰化の探求に特化したCT検査
・年齢と性別決定のための生物学的人類学による評価
     
診断基準   ・はっきり確認できる動脈壁の石灰化:アテローム動脈硬化症と診断
・動脈と思われる流れに沿った石灰化:アテローム動脈硬化症の疑い
     
結果   ・生存していた時代:紀元前1981年~紀元前334年
・心臓組織/大動脈/末梢血管の識別可能だった検体数:16体
・アテローム動脈硬化症と診断:5体(31%)
 アテローム動脈硬化症の疑い:4体(25%)
・石灰化の割合 ≧45歳 :7/8体(87%)
  <45歳 :2/8体(25%)
   
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