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スタチン服用中の患者でも,PCI前のスタチン高用量投与で主要心イベントが抑制される
Atorvastatin for Reduction of Myocardial Infarction during Angioplasty(ARMYDA-RECAPTURE試験)
スタチンを服用したことのない安定狭心症患者,急性冠症候群患者では,血行再建のためのカテーテル治療(PCI)施行前にアトルバスタチンを高用量投与することで,その後の心筋梗塞リスクが減少することは既に報告されている(ARMYDA試験,2004年)。では,すでにスタチンを服用中の患者ではどうだろうか。今回,ローマ大学のGermano Di Sciascio氏らは,スタチン服用患者であっても,PCI施行前にアトルバスタチンを高用量投与することで,術後の心血管イベントを抑制できるかどうか検討を行った。
対象は,スタチンを30日以上服用している安定狭心症または非ST上昇型急性冠症候群の患者352名。これらの患者は,PCI施行前にアトルバスタチンを高用量投与する群とプラセボ投与群とに無作為に分けられた。
一次エンドポイントのPCI施行30日後の主要心イベント発生率は,プラセボ群の9.1%に対しアトルバスタチン群は3.4%と著明に低下することが確認された。また,心筋傷害のマーカーであるクレアチニンキナーゼMBやトロポニン-Iも,アトルバスタチン群の方がプラセボ群と比べて有意に低下していた。
このように,PCI施行前の高用量アトルバスタチン投与は,スタチン服用中の患者であっても臨床転帰を改善することが認められた。この結果からDi Sciascio氏は,“The findings have the potential to change current clinical practice, in that pre-loading with atorvastatin may now be indicated in all patients undergoing PCI, both those who are statin-naive, and those already taking statins chronically.”と述べ,今回の結果はPCI施行患者への治療戦略を変える可能性があるとの見方を示した。(萩原 充)
■試験の概要
対象 | スタチンを30日以上服用している安定狭心症または非ST上昇型急性冠症候群患者352名 | |||||||||||||||||
方法 | 多施設共同・無作為化二重盲検プラセボ対照試験
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結果 | 数値はいずれもアトルバスタチン群vs.プラセボ群 一次エンドポイント
*心臓死,心筋梗塞,標的血管血行再建術
二次エンドポイント
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