ニュース
アスピリンにクロピドグレル追加投与で心房細動患者の脳卒中が減少―ただし大出血は増加
Atrial Fibrillation Clopidogrel Trial with Irbesartan for Prevention of Vascular Events(ACTIVE A試験)
心房細動は脳卒中の重要な危険因子だが,そこに高血圧,糖尿病,高齢など他の危険因子が加わると,リスクはさらに増大する。現在,そのような脳卒中高リスクの心房細動患者に対して,予防のためにビタミンK拮抗薬のワルファリンが推奨されている。しかしワルファリンが適さない患者も多く,その場合はアスピリンが代用されるが,予防効果はワルファリンにかなり劣るという問題がある。
そこで,カナダ・マックマスター大学のStuart J.Connolly氏らは,アスピリンにクロピドグレルを上乗せすることで,脳卒中などの血管イベント抑制効果が高まるか否かを検討するACTIVE A試験を実施した。
対象は脳卒中高リスクでワルファリン不適応の心房細動患者約7,500名。3年半以上の追跡の結果,クロピドグレル+アスピリン群はアスピリン単独群と比べ,一次エンドポイントの主要血管イベント(脳卒中+非中枢神経系全身性塞栓症+心筋梗塞+血管死)を有意に低下した。これを各項目別にみると,脳卒中のみが有意に減少しており,一次エンドポイントの低下に大きく貢献したと考えられる。しかし,重大な有害事象である大出血はクロピドグレル+アスピリン群で有意に増加し,一次エンドポイントに大出血を加えたイベント発生率は両群間で有意差が認められないという結果となった。
今回の試験結果についてConnolly氏は,“If you treated one thousand patients over the course of three years by adding clopidogrel to aspirin, you would prevent 28 strokes, 17 of which would be fatal or disabling, and you would prevent six heart attacks. This would occur at a cost of 20 major hemorrhages.”と述べ,明快な結論とならなかったが,本治療法は多くの患者に重要なベネフィットがあるとの考えを示した。(佐藤生美雄)
■試験の概要
対象 | ビタミンK拮抗薬(VKA)療法に適さない脳卒中高リスク*の心房細動患者7,554名 *次の因子のうち1つ以上有する:75歳以上,高血圧治療中,脳卒中/一過性脳虚血発作/非中枢神経系全身性塞栓症の既往,左室駆出率<45%,末梢血管疾患,55~74歳で糖尿病または冠動脈疾患を合併 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
方法 | 国際多施設共同・無作為化二重盲検プラセボ対照試験 クロピドグレル(75mg/日)+アスピリン(75~100mg/日)群:3,772名 プラセボ+アスピリン(75~100mg/日)群:3,782名 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
追跡期間 | 3.6年(中央値) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
結果 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
intention-to-treat解析
|