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カテーテルによる腎交感神経不活化治療で治療抵抗性高血圧が著明に改善
Renal Sympathetic Denervation in Patients with Treatment-resistant Hypertension(Symplicity HTN-2試験)
従来の薬物治療では降圧が望めなかった高血圧患者に,カテーテルによる腎交感神経不活化治療(腎除神経)を行うことで,安全かつ有意な降圧が得られることが無作為化比較試験によって明らかになった。腎交感神経の活性化は高血圧を起こす一因と考えられているが,本治療法はラジオ波で腎交感神経を焼灼し,その活性を遮断しようというもの。試験結果は,オーストラリアのベーカーIDI心臓・糖尿病研究所のMurray Esler氏によって報告された。
対象は,治療抵抗性の高血圧患者106人。これらの患者を従来の降圧薬治療に加え腎除神経を行う群(腎除神経群)と,従来の降圧薬治療のみの群(対照群)に無作為に分け,半年後の外来血圧の変化を比較した(ベースライン時の収縮期/拡張期血圧:178/96 vs. 178/97mmHg)。
半年後,対照群ではほとんど変化がなかったのに対し,腎除神経群ではベースライン時と比べ32/12mmHgの降圧を達成。両群間の血圧差は33/11mmHgにのぼった。また,腎除神経群では39%の患者で収縮期血圧が140mmHg未満にまで下がり,84%で10mmHg以上の低下が得られていた。一方,手技に関連した重大な合併症はなく,半年後の腎画像検査でも手技関連の異常はみられなかった。
Esler氏は,腎除神経が治療抵抗性高血圧への有力な治療法となる可能性が示唆されたとし,”This procedure provides a revolutionary, non-drug method for controlling high blood pressure in patients who are unresponsive to multiple antihypertensive drugs”と結んだ。(富樫哲也)
■試験の概要
対象 | 3種類以上の降圧薬でも降圧できない治療抵抗性高血圧患者106人 ・外来収縮期血圧160mmHg以上(2型糖尿病合併患者は150mmHg以上) |
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方法 | 国際多施設共同・無作為化比較試験 ・腎除神経群(降圧薬+カテーテルによる腎除神経):52人 ・対照群(降圧薬のみ):54人 |
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結果 | 外来血圧(一次エンドポイントは6カ月後の外来収縮期血圧)
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