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エプレレノンの追加投与で軽症心不全患者の予後が著明に改善
Eplerenone in Mild Patients Hospitalization and Survival Study in Heart Failure(EMPHASIS-HF試験)
フランスのナンシー大学医療センターのFaiez Zannad氏らは,軽症の収縮性心不全患者に,標準的心不全治療に加えて選択的アルドステロン拮抗薬のエプレレノンを投与することで,心血管イベントが著明に減少することを明らかにした。重症の収縮性心不全に対する有効性はすでに認められていたが,軽症例に対する影響は明らかでなかった。
参加した施設は29カ国278カ所。すでに標準的な心不全治療を受けている軽症の収縮性心不全患者2.737人をエプレレノン群とプラセボ群に無作為に割り付け,21カ月追跡した。一次エンドポイントは心血管死と心不全による初回入院の複合であった。
解析の結果,一次エンドポイントの発現リスクは,エプレレノン群がプラセボ群と比べ37%も低下し,さらに二次エンドポイントの総死亡でも24%低下することが分かった。本試験は,中間解析でエプレレノンの明らかな優位性が認められたことから,早期終了となった。
今回,エプレレノンが軽症の収縮性心不全患者に対しても大きな予後改善効果を示したことから,Zannad氏は,“Now patients with all kinds of severely of systolic heart failure, whether it is post-myocardial infarction, with mild or severe symptoms, are potentially eligible for some kind of aldosterone blockade, and, certainly, for eplerenone.”と述べ,アルドステロン拮抗薬はすべての重症度の収縮性心不全をカバーする治療薬になりうるとの見解を示した。(関 紗由里)
■試験の概要
対象 | 軽症の収縮性心不全患者2,737人 ・55歳以上 ・NYHA心機能分類II度 ・左室駆出率<30%(もしくは左室駆出率31~35%でQRS>130msec) ・ACE阻害薬もしくはARB(またはその両方)とβ阻害薬で治療中 ・6カ月以内の心血管病による入院の既往(もしくは入院なしでBNP≧250pg/mL, または男性でNT-pro-BNP≧500pg/mL,女性でNT-pro-BNP≧750pg/mL) |
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方法 | 国際多施設共同・二重盲検無作為化比較試験 ・エプレレノン群(25~50mg/日):1,364人 ・プラセボ群:1,373人 |
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追跡期間 | 21カ月(中央値) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
結果 |
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