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アナセトラピブがLDLおよびHDLコレステロールの値を劇的に改善
Determining the Efficacy and Tolerability of CETP Inhibition with Anacetrapib (DEFINE試験)
新たな脂質改善薬として期待されるアナセトラピブが,スタチンへの追加投与にも関わらず,LDLコレステロールをほぼ半減させ,HDLコレステロールを劇的に増加させることが確認された。アナセトラピブはコレステロールエステル転送蛋白(CETP)阻害薬の一種。同系統の薬剤として先行開発されていたトルセトラピブは血圧を上昇させるといった安全面での問題があったが,本剤ではそのような有害作用は認められなかった。ボストンのブリガム・アンド・ウィメンズ病院TIMIスタディグループのChristopher P. Cannon氏が報告した。
この試験には20カ国153カ所の施設が参加した。対象は,すでにスタチンで治療中の冠動脈疾患既往もしくはそのハイリスク患者1,623人。これらの患者をアナセトラピブ群とプラセボ群に無作為に割り付け,LDLコレステロールやHDLコレステロールへの影響,および有害事象の発生を追跡調査した。
その結果,24週間後のLDLコレステロールの低下幅とHDLコレステロールの上昇幅は,アナセトラピブ群がプラセボ群と比べ有意に大きく,そのレベルは76週後も維持された。また,試験期間中,アナセトラピブによる血圧上昇はみられなかった。
Cannon氏は“This agent provides us a very strong add-on treatment to statins that dramatically increases the good cholesterol and dramatically further decreases the bad cholesterol”と述べ,新規薬剤には劇的な脂質改善効果があることを強調した。冠動脈疾患患者に対して現在行われているスタチン治療は,心血管リスクを下げるのにまだ十分でないことから,本剤がさらなるリスク低下にどの程度貢献できるのか,今後の試験結果が注目される。(関 紗由里)
■試験の概要
対象 |
冠動脈疾患既往もしくはそのハイリスク患者1,623人 ・冠動脈疾患ハイリスクはフラミンガムリスクスコア>20% ・スタチン治療中(その他の脂質改善薬併用の有無は関係なく) ・LDLコレステロール 50~100mg/dL ・HDLコレステロール <60mg/dL ・トリグリセライド ≦400mg/dL |
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方法 |
国際多施設共同・二重盲検無作為化比較試験 ・アナセトラピブ群(100mg/日):811人 ・プラセボ群:812人 |
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結果 |
ベースライン時と比べた24週および76週時点での変化率
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