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経カテーテル大動脈弁置換術1年後の経過は良好

Development of a risk score for transcatheter aortic valve implantation: 1-year outcomes from over 1,000 patients in the SOURCE registry(SOURCEレジストリーTAVI)

経カテーテル大動脈弁置換術1年後の経過は良好

 現在,欧州では外科手術ができないハイリスクの大動脈弁狭窄症患者への治療オプションとして,経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)システムが用いられている。しかし,まだ実臨床での術後の長期リスクは明らかではない。今回,英国・キングスヘルスパートナーズのOlaf Wendler氏は,TAVI施行患者の予後を調査するSOURCEレジストリーの解析結果から,TAVI施行1年後の生命予後が良好であったことを報告した。なお,本レジストリーに登録された患者には,Edwards SAPIEN弁(エドワーズライフサイエンス社)の経心尖または経大腿デリバリーシステムが用いられた。

 解析対象は,TAVI施行の完全連続症例を提供した32施設からの大動脈弁狭窄患者1,038名。このうち経心尖デリバリーが行われたのは575名,経大腿デリバリーは463名だった。いずれも外科手術不適応とされたハイリスク患者である。

 すでに報告されている本レジストリーの解析結果1)からは,30日後の全死亡率が8.5%だったことが明らかになっている。これは,心臓手術のリスク評価指標であるlogistic EuroSCOREによる予測死亡率が27.6%であったことから考えると,良好な成績と言える。

 今回報告された1年後の生存率は,全体で76%と,これまでに報告されている同様の患者に対する外科手術の1年生存率に匹敵するものだった。デリバリーの方法別にみると,経心尖デリバリー群が72%,経大腿デリバリー群が81%であった。ただし,ベースライン時のlogistic EuroSCOREの予測死亡率は,経心尖デリバリー群29.0%,経大腿デリバリー群25.8%と,経大腿デリバリー群の方が有意に低かったため(p=0.007),デリバリー方法による予後の違いを明確にするには至らなかった。

 一方,1年死亡率の予測因子としては,ベースライン時のlogistic EuroSCORE(スコアの高い群ほど生存率が低下)のほか,肝疾患,腎不全が認められた。しかし,TAVI適応患者を選別するためのリスクスコア構築についてWendler氏は,「現状ではまだ難しい」とし,「今後,さらにデータを積み重ね,TAVIのためのリスクスコアを構築しなくてはならない」と結んだ。 (Rick McGuire)

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