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内科疾患患者へのapixaban延長投与は,エノキサパリン短期投与を上回る静脈血栓塞栓症予防効果を示せず

pixaban Dosing to Optimize Protection from Thrombosis Trial(ADOPT試験)

内科疾患患者へのapixaban延長投与は,エノキサパリン短期投与を上回る静脈血栓塞栓症予防効果を示せず

 内科疾患患者を対象とした試験で,経口抗凝固薬apixabanを退院後に延長投与しても,エノキサパリンの短期投与より高い静脈血栓塞栓症予防効果は得られなかったことが分かった。その一方で大出血リスクは高まった。米国・ブリガム・アンド・ウィメンズ病院/ハーバード大学医学部のSamuel Z. Goldhaber氏が報告した。

 対象は,35カ国から登録されたうっ血性心不全または急性呼吸不全による入院患者,および静脈血栓塞栓症のリスク因子を有する内科疾患患者の合計6,528人。これらの患者をapixaban群とエノキサパリン群に無作為に割り付け,治療開始から30日後に超音波検査で静脈血栓塞栓症の有無を調べた。入院期間中も含め,apixaban群では30日間,エノキサパリン群では6~14日間治療が行われた。

 一次エンドポイントである30日後の静脈血栓塞栓症とその関連死の発現率は,apixaban群とエノキサパリン群で同等だった(2.71% vs. 3.06%)。一方,大出血の発現率はapixaban群で有意に高かった(0.47% vs. 0.19%)。

 これらの結果を受けてGoldhaber氏は,静脈血栓塞栓症のリスクは退院後も高いことから,apixaban延長投与のベネフィットを得られる患者層を特定する必要があると結論し,“The uncertain fate of the discharged patient susceptible to dangerous clotting remains one of the last frontiers where we struggle to find effective and safe venous thromboembolism prevention”と述べた。(内堀雅巳)

■試験の概要

対象   うっ血性心不全,急性呼吸不全による入院患者または静脈血栓塞栓症リスク因子を有する内科疾患**患者6,528人
*75歳以上,静脈血栓塞栓症の既往,BMI 30以上,エストロゲン療法中,室内歩行ができる程度の可動性
**感染症,急性リウマチ,炎症性腸炎
     
方法   国際共同・二重盲検無作為化比較試験
apixaban群:3,255人 (apixaban 2.5mg×1日2回,30日間経口投与) 
・エノキサパリン群:3,273人(エノキサパリン40mg×1日1回,6~14日間皮下投与)
     
結果

  apixaban
n(%)
エノキサパリン群
n(%)
相対リスク
(95%信頼区間)
p値

有効性の一次エンドポイント

30日後の静脈血栓塞栓症とその関連死 60/2,211(2.71) 70/2,284(3.06) 0.87
(0.62~1.23)
NS

安全性の一次エンドポイント

大出血 15/3,148(0.47) 6/3,217(0.19) 2.58
(1.02~7.24)
0.04
大出血および
臨床上意義のある出血
85/3,148(2.67) 67/3,217(2.08) 1.28
(0.93~1.76)
0.12

NS:有意差なし
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