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痛風治療薬コルヒチンが心臓手術後の心房細動を著明に抑制

Colchicine for Post-Pericardiotomy Syndrome (COPPS) and Post-Operative Atrial Fibrillation (POAF) Prevention Study(COPPS POAF試験)

痛風治療薬コルヒチンが心臓手術後の心房細動を著明に抑制

 COPPS試験グループのMassimo Imazio氏らは,心臓手術を受けた患者を対象としたプラセボ対照試験において,痛風薬のコルヒチンが心臓手術後の心房細動をほぼ半減させたことを明らかにした。コルヒチンはすでに心膜切開後症候群の発現を抑制することが報告されているが,患者の高齢化にともなって増加している術後の心房細動に対しても有効性が認められた意義は大きい。

 本試験の対象は心臓手術を受けた患者336人。これらの患者をコルヒチン群とプラセボ群に無作為に割り付けた。両群の患者背景に差はなかった。

 一次エンドポイントである1カ月後の心房細動発現率は,コルヒチン群でプラセボ群に比べて有意に低く(12.0% vs. 22.0%),相対リスク低下率は45.5%だった。また,コルヒチン群では全入院日数も有意に短縮した(21.4日 vs. 24.2日)。消化管症状の発現や治療中止はコルヒチン群で多かったが,プラセボ群との有意差はなかった。

 これらの結果を受けてImazio氏は,“Following cardiac surgery, colchicine, as an empiric anti-inflammatory therapy, appears to be an inexpensive and safe means to reduce the incidence of post-operative atrial fibrillation and hospitalization length”と述べ,コルヒチンが心膜切開後症候群だけでなく心房細動の発現も抑制することを強調した。(内堀雅巳)

■試験の概要

対象   心臓手術を受けた患者
     
方法   多施設共同・二重盲検無作為化プラセボ対照試験
・コルヒチン群:169人
 (術後3日目にコルヒチン1.0mg×1日2回,以後0.5mg×1日2回)
・プラセボ群:167人
     
結果

  コルヒチン群
プラセボ群
p値 相対リスク低下率*
(95%信頼区間)

一次エンドポイント

1カ月後の心房細動発現率 12.0 22.0 0.021 45.5(34.0~94.0)

二次エンドポイント  

心臓手術による入院期間
リハビリによる入院期間
全入院期間
死亡または脳卒中
9.4±3.7日
12.1±6.1日
21.4±7.9日
2例(1.2%)
10.3±4.3日
13.9±6.5日
24.2±8.9日
2例(1.2%)
0.040
0.009
0.030
0.616



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