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感染性心内膜炎に対する早期手術が,従来の薬物治療よりも塞栓イベントを抑制

Randomized Trial of Early Surgery Versus Conventional Treatment for Infective Endocarditis (EASE試験)

感染性心内膜炎に対する早期手術が,従来の薬物治療よりも塞栓イベントを抑制

 感染性心内膜炎患者の塞栓症を防ぐ手段として外科治療が注目されているものの,手術の対象となる患者や,適切な手術のタイミングについては十分に検討されていない。そこで,韓国・アサンメディカルセンターのDuk-Hyun Kang氏らは,塞栓症のリスクが高い感染性心内膜炎患者で,従来の薬物治療と早期手術を比較する試験を実施。その結果,早期手術により,塞栓イベントを抑制できることを明らかにした。

 本試験の対象は,左心自己弁に感染性心内膜炎を認め,10mm超の疣贅(ゆうぜい:イボ状の感染巣)を有する患者76人。これらの患者を早期手術群と従来治療群に無作為に分け,早期手術群では無作為化後48時間以内に手術を行い,従来治療群では抗生物質を4週間以上静注した。

 一次エンドポイントである6週後の院内死亡+塞栓イベント発現率は,早期手術群で従来治療群に比べ有意に低く(3% vs. 23%),早期手術群では塞栓イベントが認められなかった。また,二次エンドポイントである6カ月後の総死亡+塞栓イベント+心内膜炎の再発も,早期手術群で有意に低かった(3% vs. 28%)。

 Kang氏は,“The EASE randomized trial showed that early surgery significantly reduced the primary endpoint of death and embolic events in infective endocarditis patients with large vegetations”と結論し,今後は複雑性感染性心内膜炎患者を対象とした無作為化試験が必要と訴えた。(北川由美子・医学ライター)

■試験の概要

対象   左心自己弁に10mm超の疣贅を有する感染性心内膜炎患者
     
方法   前向きオープンラベル無作為化比較試験
・早期手術群:37人(無作為化後48時間内に手術)
・従来治療群:39人(抗生物質を4週間以上静注)
     
結果

  早期手術群
n(%)
従来治療群
n(%)
p値

一次エンドポイント
6週後の院内死亡+塞栓イベント
  1(3)   9(23)   0.014

 院内死亡
 塞栓イベント
  脳
  冠動脈
  膝窩
  脾臓
1(3)
0(0)
0
0
0
0
1(3)
8(21)
5
1
1
1
1.000
0.005
-
-
-
-

二次エンドポイント
6カ月後の総死亡+塞栓イベント+心内膜炎の再発*
1(3) 11(28) 0.003

 総死亡
 塞栓イベント
 心内膜炎の再発
1(3)
0
0
2(5)
8(21)
1(3)
1.000
0.005
1.000

*ハザード比(95%信頼区間)=0.083(0.011~0.640),p=0.017
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