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リバーロキサバンの低用量投与で急性冠症候群患者の心血管イベントが有意に減少

Anti-Xa Therapy to Lower Cardiovascular Events in Addition to Standard Therapy in Subjects with Acute Coronary Syndrome-Thrombolysis in Myocardial Infarction 51 Trial(ATLAS ACS2-TIMI51試験)

リバーロキサバンの低用量投与で急性冠症候群患者の心血管イベントが有意に減少

 急性冠症候群患者を対象とした大規模試験で,抗血小板療法に抗凝固薬リバーロキサバンを低用量で併用することにより,心血管イベントを抑制できることが示された。抗血小板療法への抗凝固薬の併用はこれまでにも検討され,出血リスクが課題となってきたが,本試験で用いられた低用量投与では,致死的な出血リスクの上昇は認めなかった。ATLAS ACS2-TIMI51試験グループのC. Michael Gibson氏が報告した。

 この試験は44カ国から患者が登録された国際共同試験で,対象は急性冠症候群発症後1~7日の患者15,526人。これらの患者をリバーロキサバン 2.5mg群,5.0mg群,プラセボ群に無作為に割り付け,複合心血管イベント(心血管死+心筋梗塞+脳卒中)発現率を評価した。抗血小板療法としては,各群90%以上にアスピリンとチエノピリジン系薬剤の2剤が投与されていた。

 一次エンドポイントである複合心血管イベント発現率は,リバーロキサバン群でプラセボ群に比べ有意に低かった(8.9% vs. 10.7%)。用量別の解析では,リバーロキサバン2.5mg群も5.0mg群も同様に複合心血管イベントを抑制していたが,心血管死と総死亡に対する有効性は2.5mg群でのみ認められた。一方,大出血の発現率はリバーロキサバン群がプラセボ群に比べ上昇していたが,致死的な出血の増加はみられなかった。

 これらの結果を受けてGibson氏は,抗血小板療法への低用量リバーロキサバン(2.5mg×1日2回)の併用を重要な戦略として位置づけ,“Our findings are important because blocking the production of thrombin is an important new way to improve acute coronary syndrome patients’ long-term risk of death, stroke and heart attack after being hospitalized with an acute coronary syndrome”と述べて報告を締めくくった。(北川由美子・医学ライター)

■試験の概要

対象   急性冠症候群発症後1~7日の症状が安定した15,526人
     
方法   国際共同・無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験
・リバーロキサバン 2.5mg(1日2回)群:5,174人
・リバーロキサバン 5.0mg(1日2回)群:5,176人
・プラセボ群:5,176人
※全例にアスピリン75~100mg/日を投与
※チエノピリジン系薬剤投与の有無によって層別化後に無作為化
     
追跡期間   平均13カ月
     
結果

有効性 リバーロキサバン群
プラセボ群
ハザード比 p値

一次エンドポイント
心血管死+心筋梗塞
+脳卒中
8.9 10.7 0.84
(95%信頼区間:0.74~0.96)
0.008

心血管死+心筋梗塞
+脳卒中
2.5mg群
5.0mg群
9.1
8.8
10.7 0.84
0.85
0.020
0.028
心血管死 2.5mg群
5.0mg群
2.7
4.0
4.1 0.66
0.94
0.002
0.63
総死亡 2.5mg群 2.9 4.5 0.68 0.002

安全性 リバーロキサバン群
プラセボ群
ハザード比 p値

一次エンドポイント
大出血
2.5mg群
5.0mg群
1.8
2.4
0.6 3.46
4.47
<0.001
<0.001

頭蓋内出血 2.5mg群
5.0mg群
0.4
0.7
0.2 0.037
0.005

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