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看護師介入による包括的治療管理で心房細動患者の長期予後が大きく改善
Specialized Atrial Fibrillation Clinic Reduces Cardiovascular Morbidity and Mortality in Patients with Atrial Fibrillation
心房細動の治療では,専門の看護師がガイドラインに則った患者管理を徹底して行うことで,患者の長期予後が大きく向上することがわかった。心房細動はそれ自体致命的な疾患ではないが,心臓で血栓ができやすく,それにより脳卒中などの心血管リスクが高まる。このため,ガイドラインに基づく厳格な患者管理が求められるが,十分に行われていないのが実状だ。そこでオランダのマーストリヒト大学のJeroen ML Hendriks氏らは,心房細動専門の看護師が介入してガイドラインに基づく治療管理を徹底することで,患者の予後が改善するかどうか検討を行った。
対象となったのは新規に心房細動と診断された712人の患者だ。心房細動クリニックで専門看護師が患者を教育・指導し,ガイドラインに基づいた包括的な治療管理を行う群と,心臓病クリニックで通常の治療管理を行う群とに分け,長期予後を比較した。
心房細動クリニックでは,心臓病専門医の指導のもと,心房細動の教育を受けた専門看護師が,ガイドラインに基づいて作成されたソフトウエアを使って患者管理を行った。このソフトウエアでは基礎疾患や既往症,生活習慣などの患者の基礎データを入力すると,個々の患者のリスクのプロファイルリストが作成される。このリストに基づき,看護師は心房細動の治療に関する患者教育や生活習慣病指導を重点的に行うという仕組みだ。
平均22カ月の追跡の結果,脳卒中などの心血管イベントや薬剤の重篤な副作用を複合したリスクをみると,専門看護師の介入群は通常治療群より35%低下し,心血管死では70%以上低下していた。
これらの結果から,Hendriks氏は,“Effective atrial fibrillation management can enhance appropriate treatment, coordinate the delivery of care more efficiently and bring improved outcomes, as we showed in this trial”と述べ,効果的な心房細動管理が長期予後の改善に重要な役割を果たすことを強調した。(志賀幹太)
■試験の概要
対象 | 新規に診断された心房細動患者712人 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
方法 | PROBE試験(前向き無作為化オープン・エンドポイント非開示試験) ・心房細動クリニックで専門看護師が介入し包括的治療管理を行う群(看護師介入群):356人 ・心臓病クリニックで通常の治療管理を行う群(通常治療群):356人 |
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追跡期間 | 平均22カ月 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
結果 ※一次エンドポイントは,心血管死+心血管系疾患*による入院+重篤な副作用
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