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局所進行性の食道胃接合部腺癌では術前化学療法早期のPETによる治療反応性診断が有用

Independent validation of a prognostic genomic profile (ColoPrint) for stage II colon cancer (CC) patients.

局所進行性の食道胃接合部腺癌では術前化学療法早期のPETによる治療反応性診断が有用

 局所進行性の食道胃接合部腺癌に対し,腫瘍の治療反応性を調べるPET検査を術前化学療法の早期に実施することは,その後の治療法選択に有用であることが示された。また,PETで化学療法ノンレスポンダーと判定された患者に放射線療法を追加しても,切除後の予後改善にはつながらなかった。ドイツ・ブラウンシュワイク病院のFlorian Lordick氏が報告した。

 本試験では,術前化学療法の早期(治療開始14日目)にFDG-PET(腫瘍の代謝活性を指標に治療反応性を調べる画像診断法)を実施し,その所見から化学療法に対するレスポンダーとノンレスポンダーを分け,レスポンダーにはそのまま化学療法を3カ月継続してから切除術を行った。ノンレスポンダーは放射線療法を追加する化学放射線療法に切り替え,その後切除した。

 対象患者56人中54人に切除術が施行された。一次エンドポイントの根治切除が得られたのはレスポンダー群で27人(82%),ノンレスポンダー群で16人(70%)となり,両群に有意差はなく(p=0.51),どちらも適切な術前治療が行われたことが示唆された。二次エンドポイントであるイベントフリー生存期間と全生存期間については,ノンレスポンダー群がそれぞれ15カ月,18カ月だったのに対し,レスポンダー群ではいずれも未到達となり,両群の予後の違いが明らかとなった。一方,ノンレスポンダー群に放射線療法を追加しても,予後改善には至らなかった。

 以上より,局所進行性の食道胃接合部腺癌では,術前化学療法早期でのPETによる治療反応性診断が,その後の治療法決定の助けとなることが示された。Lordick氏は,”We confirmed that PET testing after two weeks of chemotherapy is a very important prognostic tool. This approach can help a physician distinguish patients who are responding to chemotherapy from those who are not, and who can therefore be spared from the unnecessary toxicities of treatment that is unlikely to improve their outcome,”と述べ,ノンレスポンダーに対しては,予後改善につながる効果的な治療法を今後も探求する必要があるとした。(中川ゆり子)

■試験の概要

対象   ステージI/IIの食道胃接合部腺癌患者56人
     
方法   術前化学療法(シスプラチン療法)開始前と開始後14日目にFDG-PETを実施。その所見から,患者をレスポンダーとノンレスポンダーに分け,それぞれに以下の治療を実施。
 ・レスポンダー群(33人):術前化学療法(シスプラチン療法)を3カ月継続→切除術
 ・ノンレスポンダー群(23人):術前の化学放射線療法
  [放射線療法(32 Gy)+シスプラチン(6mg/m2,第1~5日,第8~13日)]→切除術
     
追跡期間中央値   38カ月
     
結果

  レスポンダー群
n=33
ノンレスポンダー群
n=23
p値

根治切除 27(82%) 16(70%) 0.51
組織学的残存腫瘍<10% 12(39%) 6(26%) 0.56
イベントフリー生存期間中央値 未到達 15.4カ月 0.035
全生存期間中央値 未到達 18.3カ月  

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