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遺伝子検査法ColoPrint®でステージII結腸癌患者の術後補助化学療法の有無を判定
Independent validation of a prognostic genomic profile (ColoPrint) for stage II colon cancer (CC) patients.
ColoPrint®と呼ばれる新たな遺伝子検査法が,結腸癌患者の術後の予後評価に有効である可能性が改めて示された。本検査法は,18個の結腸癌再発関連遺伝子の発現パターンからリスクの層別化を行うというもの。通常,ステージIIの結腸癌患者の多くは切除術のみで予後良好だが,20%程度の患者で再発がみられる。もし,将来のリスクが高いか低いかを事前に評価できれば,高リスク患者にのみ術後に補助化学療法を行うことが可能だ。しかし,現在のところ,このようなリスク評価に有効な手段はない。
そこで,ミュンヘンの工科大学付属病院・Robert Rosenberg氏らは,まず,同病院で過去に結腸癌切除術を受けた患者の腫瘍組織を用いてColoPrint®によるリスク評価を行った。対象となったステージIIの結腸癌患者135人のうち,ColoPrint®で高リスクと判定されたのは36人(27%)で,99人(73%)が低リスクだった。次に,これらの患者の臨床パラメータや追跡データから,このリスク分けが実際の予後と関連しているかどうか検証した。
単変量解析の結果,ColoPrint®によるリスク分けは遠隔転移と有意に関連しており(高リスク vs. 低リスクのハザード比4.126,p=0.009),多変量解析でもその有意な関連性は保たれていた(同ハザード比4.278,p=0.013)。一方,ASCOの定義によるリスク分けや性別等の各種臨床パラメータでは遠隔転移との関連はみられなかった。
これらの結果から,ColoPrint®により術後補助化学療法を必要としない低リスク患者の同定が可能であることが示唆された。現在は,ColoPrint®によるリスク層別化の有用性をプロスペクティブに検証する国際多施設共同試験PARSC(Prospective Assessment of Risk Stratification by ColoPrint)が進行中で,その結果が待たれている。
最後にRosenberg氏は,“Further goals are to combine results of the gene signature test with clinical parameters to further improve patient stratification and to offer individualized therapy options to our patients”と締めくくった。(中川ゆり子)
■試験の概要
対象 | 外科的切除を行ったステージIIの結腸癌患者135人(男性77人,女性58人) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
方法 | レトロスペクティブなリスク評価検証試験 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
追跡期間中央値 | 101カ月 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
結果 <ColoPrint®によるリスク判定> ・高リスク:36人(27%) ・低リスク:99人(73%) <各種パラメータと術後の遠隔転移との関連>
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