気楽に1分~脳に染み込む医学論文・頻出単語!

2013年5月まで配信していたメールマガジン『気楽に1分~脳に染み込む医学論文・頻出単語!』の全バックナンバーを公開します。

主要医学ジャーナル4誌(N Engl J Med,JAMA,BMJ,Lancet)に掲載された100論文の全単語から,英文の“核”とも言える動詞だけを集めて使用頻度を解析。このうちランキング上位の動詞を,ランダムに取り上げています。

バイリンガルの富田氏が語る「単語の持っているイメージ,ネイティブが感じるニュアンス」は,まさに“目からウロコ”の感涙もの!
1つの動詞を3つの違った角度から学習できるので,その使い方が徐々に脳に染み込みます。

月~金曜にわたり,毎日1単語ずつ,全100単語分のバックナンバーを順次公開していきます。お楽しみに!!

No. 96

prove

意味:分かる,判明する,証明する,立証する

単語のイメージ:証明する

論文での使われ方をチェック!▼

例文

(1)In this setting, no therapies have been proven to avoid fatal conditions due to sepsis.
(2)Several mutations have already proved to be useful biomarkers for predicting prognosis.

単語チェック

  • fatal 致死的な
  • sepsis 敗血症
  • mutations 変異
  • predicting 予測
  • prognosis 予後

対訳

(1)このような状況の中で,敗血症による致死的病状になるのを回避できる治療法は分かっていない。
(2)いくつかの変異が予後予測の有用なバイオマーカーであることはすでに立証されている。

ミニ解説

prove のイメージは「証明する」で,これが意味としても一番強くなります。
prove の過去分詞形には proved と proven の2種類があり,(1)では proven が,(2)では proved が使われているので混乱するかもしれません。基本形は,have been に続く場合は proven,そうでなければ proved となります。これは理屈ではなく,覚えてしまうのが一番でしょう。ただ,ややこしいのは,proved はイギリス英語で好まれますが,アメリカ英語では proven が好まれる傾向にあるというところです。したがって,(2)は proven としても問題ありません。
(1)に出てくる setting はここでは「状況」と訳していますが,日本語にしにくい言葉です。元々の意味は「設定された場面」で,sceneと同義語になります。

英作文に挑戦!▼

問題

(1)組織学的サブタイプをベースにしたリスクスコアが,A病患者の再発リスク層別化に有益であることが立証されるかもしれない。
(2)p53は,がん抑制遺伝子であることが証明されている。

ヒント

※(1)の「有益であること」は「有益性」に置き換えて考えてみましょう。
※(2)の「~であることが証明されている」は「証明されたがん抑制遺伝子」の構文で。

  • 組織学的 histological
  • 再発 recurrence
  • 層別化する stratify
  • p53 Protein 53 (p53)
  • がん抑制遺伝子 tumor suppressor gene

解答例

(1)The risk score based on histological subtypes may prove beneficial to stratify recurrence risk in patients with disease A.
(2)Protein 53 (p53) is a proven tumor suppressor gene.

ミニ解説

(1)の prove は,同様の意味のある establish を使うことも考えられるでしょう。もし establish を使ったら,このような言い方になります。

《例文》
The risk score based on histological subtypes may help establish stratification of recurrence risk in patients with disease A.

establish の意味は「確立する」ですから,英語的な論理では,まず benefit があることを prove してから establish に入りたいところです。(1)はどちらを使ってもよいですが,問題文が,まだ「~されるかもしれない」という段階ですから,ここは may prove のほうがしっくりきます。日本語が「~できるかもしれない」と,一歩踏み込んだ段階のときは,may help establish と言うところでしょう。
(2)は「証明されている」ことなので,proven gene と言うのが最も端的です。一方,臨床試験で証明(prove)されていなくても,実際の治療法として確立(establish)しているものも多々あります。

《例文》
We have established therapies for many diseases today that have never been tested by randomized clinical trials. 
(今日では,ランダム化臨床試験による検討が全くされずに,確立している治療法がたくさんある)

So, these established therapies cannot be called proven! というわけです。

会話での使われ方をチェック!▼

例文

(Q)Do you think this new diagnostic technique can be applied in clinical practice right away?
(A)Well, I believe further investigation is required to prove its true value.

単語チェック

  • diagnostic technique 診断技術
  • clinical practice 臨床現場
  • right away すぐに
  • investigation 研究

対訳

(Q)この新しい診断技術はすぐに臨床現場で応用できると思われますか。
(A)そうですね,私はさらに研究してその本当の価値を証明する必要があると思っています。

ミニ解説

会話文では,「~と思っています」という場合,(A)のように I believe が使われたり,I think が使われたりします。believe は「信じる」という意味からも分かるように,think よりも強い思いが伝わる言葉です。したがって,(A)は「further investigation が必要だと(強く)思っている」というニュアンスになり,believe を think に変えると,「further investigation があった方がよいとは思うが,ここまでの成果でもいいかもしれない」という気分が出てきます。
一方,自説が相手の意見や社会的通念から外れている場合など,自分の信念をあからさまにしたくないという政治的判断から,I believe を使わず,敢えて分かりにくい言い方をしてしまうこともありますよ。

《例文》
Well, further investigation is required to prove its true value, but I think we may have sufficient results.
(その本当の価値を証明するにはさらなる研究が必要でしょうが,ここまでの結果でも十分かもしれないですね)

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