気楽に1分~脳に染み込む医学論文・頻出単語!

2013年5月まで配信していたメールマガジン『気楽に1分~脳に染み込む医学論文・頻出単語!』の全バックナンバーを公開します。

主要医学ジャーナル4誌(N Engl J Med,JAMA,BMJ,Lancet)に掲載された100論文の全単語から,英文の“核”とも言える動詞だけを集めて使用頻度を解析。このうちランキング上位の動詞を,ランダムに取り上げています。

バイリンガルの富田氏が語る「単語の持っているイメージ,ネイティブが感じるニュアンス」は,まさに“目からウロコ”の感涙もの!
1つの動詞を3つの違った角度から学習できるので,その使い方が徐々に脳に染み込みます。

月~金曜にわたり,毎日1単語ずつ,全100単語分のバックナンバーを順次公開していきます。お楽しみに!!

No. 92

participate

意味:関与する,参加する

単語のイメージ:何かの一部になる

論文での使われ方をチェック!▼

例文

(1)Substance A might participate in the regulation of several biological processes, including apoptosis.
(2)For ABC trial investigating efficacy of drug A, 100 patients in each arm provided written informed consent to participate.

単語チェック

  • regulation 調節,制御
  • biological 生物学的
  • apoptosis アポトーシス(プログラムされている細胞の死。細胞の自然死)
  • investigating 検討する,調査する
  • arm 群
  • written informed consent 同意書

対訳

(1)サブスタンスAは,アポトーシスを含むいくつかの生物学的プロセスの調節に関与しているかもしれない。
(2)各群100人の患者が,A薬の有効性を検討するABC試験への参加同意書を提出した。

ミニ解説

participate のイメージは,「何かの一部になる」です。take part in something などと定義されます。「何かの一部になる」というのは意味が広いので,必ずしも参加により何らかの影響を与える必要はなく,参加の仕方がアクティブでなくてもかまいません。そんな守備範囲の広い言葉なのです。そこに「存在する」だけでも役目は達成されるので,「参加することに意義がある」の「参加」は participate となるわけです。
一方,participate の同義語である involve は,「深く関わる」というのが最も強い意味です。involve すると,必ず何らかの影響が生まれます。例えば統計学者の場合,臨床試験に参加して(participate)はいなくとも,深く関わっている(involve),と言うことができます。
関わり方がより直接的で能動的なのが involve,関わることで,その何かの一部になるのが participate という違いです。 

英作文に挑戦!▼

問題

(1)Z病の病変形成に,ABC変異が関わっている可能性がある。
(2)欧州の3カ国から,合計242人の患者がその試験に参加した。

ヒント

※(1)は It を主語にしてみましょう。
※「可能性がある」は likely を使って。

  • 病変形成 pathogenesis
  • 変異 mutation

解答例

(1)It is likely that ABC mutation participates in pathogenesis of disease Z.
(2)A total of 242 patients from three European countries participated in the study.

ミニ解説

involve だけでなく,engage も participate と同じように「関与する」という意味を持つ単語です。engage の関与の仕方は「切っても切れない」というものです。つまり,commitment や responsibility のある関与です。(1)を例にとると,もし,ABC 変異がZ病の病因そのものかもしれないという文脈であれば engage になりますが,(1)はそこまでは言っておらず,「関わっている可能性がある」と言いたいだけなので,participate(その病因の一部を構成している)を使うのが正解です。 

会話での使われ方をチェック!▼

例文

(Q)How many countries participated in that international collaborative study named SPARKLE?
(A)A total of three Asian countries were able to participate: Japan, Korea and China.

単語チェック

  • collaborative study 共同試験

対訳

(Q)SPARKLE という,あの国際共同試験に参加した国の数はどのくらいですか。
(A)参加が可能だったのは,合計で日本,韓国,中国のアジア3カ国でした。

ミニ解説

(Q)の that は,言い方によってイメージが変わります。この対訳では感情はフラットで,何気なく聞いている感じになっていますから,話すときは that は強調されません。会話の途中で,「ああ,そういえば,あの SPARKLE という試験に参加したのは何カ国くらいでしたっけ?」の場合も that は強調されません。that が強調されると,ネガティブであれば「あのいわく付きの」といった雰囲気が出てきます。ネガティブでなければ,「(共同試験がいくつかある中で)SPARKLE という試験には何カ国が参加したのですか」という問いかけにもなります。that の言い方次第で、さまざまな気持ちを伝えることができるのです。
(A)の英文ではコロン「:」を使って言い直しをする手間を省いています。コロンの代わりにカンマ「,」を使うと,~ to participate, Japan, Korea and China となり,to 以下の participate と Japan などが同列に列挙されていると読めてしまい,文章としておかしくなります。コロンが使えるようになると非常に便利です。言いっぱなしの文章を書ける,とでも申しましょうか。すぐに次の議題に入れます。参考のため,コロンを使わない書き方を以下に挙げます。(A)の英文と比べてみてください。

《例文》
1. A total of three Asian countries were able to participate. Those three countries were Japan, Korea and China.
2. A total of three countries -- Japan, Korea and China -- were able to participate.
3. A total of three countries (Japan, Korea and China) were able to participate.

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