2013年5月まで配信していたメールマガジン『気楽に1分~脳に染み込む医学論文・頻出単語!』の全バックナンバーを公開します。
主要医学ジャーナル4誌(N Engl J Med,JAMA,BMJ,Lancet)に掲載された100論文の全単語から,英文の“核”とも言える動詞だけを集めて使用頻度を解析。このうちランキング上位の動詞を,ランダムに取り上げています。
バイリンガルの富田氏が語る「単語の持っているイメージ,ネイティブが感じるニュアンス」は,まさに“目からウロコ”の感涙もの!
1つの動詞を3つの違った角度から学習できるので,その使い方が徐々に脳に染み込みます。
月~金曜にわたり,毎日1単語ずつ,全100単語分のバックナンバーを順次公開していきます。お楽しみに!!
No. 84
exhibit
意味:示す,呈する
単語のイメージ:外に出して見せる
例文
(1)Substance AA exhibited strong anti-inflammatory characteristics compared to substance BB.
(2)Although both groups exhibited similar weight loss during the intervention, group A achieved higher QOL.
単語チェック
- anti-inflammatory 抗炎症の
- characteristics 特性
- weight loss 体重減少
- intervention 治療(介入)
対訳
(1)サブスタンスAAはサブスタンスBBと比べ,強い抗炎症特性を示した。
(2)治療期間中,両群とも同様の体重減少がみられたが,QOLは A群のほうがより良好であった。
ミニ解説
exhibit と同様の意味をもつ単語に show がありますが,exhibit の方がよりフォーマルという程度で,両者にはほとんど違いがありません。ですから,(1)(2)ともに exhibit を show に変えても全く問題ありません。
一方,(1)の compare は意外に訳しにくい単語です。その根本の意味は「他の物(人)と違いがあるか,似たところがあるかどうかを考える」です。したがって(1)の文章のニュアンスは「AAとBBを並べてみると(compared to),AAには強い抗炎症特性があるがBBはそうではない」となります。和訳では「~と比べ “より” 強力な抗炎症特性を示す」としたくなるところですが,その場合の英文は stronger とならなくてはなりません。ただ,英語も日本語も compare(比較する)の意味が曖昧に使われることが多いので,難しいところではあります。
問題
(1)これらの結果は,A薬が変異原性を示さないことを示唆している。
(2)X病患者は重度の皮疹を呈することが知られている。
ヒント
※(2)の「~することが知られている」は,be known to で表せます。
- 変異原性 mutagenicity(遺伝情報に変化を起こさせる性質のこと)
- 皮疹 skin rash
解答例
(1)These results suggest that drug A does not exhibit mutagenicity.
(2)Patients with disease X are known to exhibit severe skin rash.
ミニ解説
(2)の exhibit は「(症状を)呈する」という意味で使われています。これと同じ意味で使われる単語に present があり,(2)の exhibit と置き変えることも可能です。
exhibit の名詞形には exhibition(展示,展示会)と exhibitionism(露出症)があります。ただし医学領域では,学会場での展示関連の用語を除き,exhibition が使われることはほとんどありません。
以下は exhibitionism の例文です。
《例文》
Common symptom of exhibitionism is a display of sexual organs in public.
(露出症でよく見られる症状は,人前での性器の露出である)
例文
(Q)How did you determine the underlying disease?
(A)It was because the patient exhibited unusual clinical features.
単語チェック
- underlying disease 基礎疾患
- clinical features 臨床兆候
対訳
(Q)どのようにしてその基礎疾患があると判断したのですか。
(A)患者が独特の臨床兆候を呈したからです。
ミニ解説
(Q)の determine は find out でも問題ないように思えるかもしれません。しかし,たとえ会話文であっても,ここは determine の方が適切です。find out が単に「見つけ出す」のに対して,determine は「探した物の中からその理由である(あるいは重要なカギとなる)物を “決定” する」までがイメージされる単語です。「いろいろ選択肢はある。しかし私はこれをする」と,いろいろな物の中から何が重要であるかを決めたいときに determine が good choice となるわけです。
一般的にはこんな言い方もよく使われますね。
《例文》
I am determined.
(私の決心は固い)