2013年5月まで配信していたメールマガジン『気楽に1分~脳に染み込む医学論文・頻出単語!』の全バックナンバーを公開します。
主要医学ジャーナル4誌(N Engl J Med,JAMA,BMJ,Lancet)に掲載された100論文の全単語から,英文の“核”とも言える動詞だけを集めて使用頻度を解析。このうちランキング上位の動詞を,ランダムに取り上げています。
バイリンガルの富田氏が語る「単語の持っているイメージ,ネイティブが感じるニュアンス」は,まさに“目からウロコ”の感涙もの!
1つの動詞を3つの違った角度から学習できるので,その使い方が徐々に脳に染み込みます。
月~金曜にわたり,毎日1単語ずつ,全100単語分のバックナンバーを順次公開していきます。お楽しみに!!
No. 52
consist
意味:構成される,成る
単語のイメージ:中に実が詰まっている感じ
例文
(1)Many complex disease syndromes consist of a large number of highly related clinical manifestations.
(2)Day 4 consisted of 30-min aerobic exercise at 50% VO2max.
単語チェック
- complex 複雑な
- syndromes 症候群
- clinical manifestations 臨床像
- aerobic exercise 有酸素運動
- VO2max 最大酸素摂取量(maximal oxygen intake)
対訳
(1)複雑な症候群の多くは,多数の関連性の高い臨床像から成っている。
(2)第4日目は有酸素運動を30分間,最大酸素摂取量の50%で行った。
ミニ解説
consist は,果物のブドウを表す気分で使ってみると雰囲気がつかめます。
(1)の「症候群」は幾つかの現象や症状がポツポツと散らばってあるのではなく,それらが相互に作用して,一つの大きな塊として出現することから,consist で表現されます。物質の濃度や調和,一貫性が consist の派生語 consistency で表現されるのも同じ感覚です。
(2)は,「第4日目の運動メニューの中味は~~だった(~~が詰まっていた)」と考えると,consist がぴったりだということが分かりますね。
また,2つの例文はどちらも of を伴った consist of の形になっていますが,医学論文ではほとんどがこの形で登場します。
問題
(1)それらのうち1つしか無修飾チロシンを含むペプチドはなかった。
(2)治療群はXとYを投与された患者9人であった。
ヒント
※(1)は何よりも先に結論から言ってみましょう。「1つしかなかった」から始めると?
- 無修飾の unmodified
- 治療群 treatment group
- ~を投与された treated with ~
解答例
(1)Only one of them consisted of peptides containing unmodified tyrosine.
(2)The treatment group consisted of nine patients treated with X and Y.
ミニ解説
consist は include と間違えやすい単語です。日本語の「~であった」は断定する言い方ですから,(2)は「XとYを投与された」9人以外は治療群に入らなかったことになります。このように特定の条件を満たした対象の話をするときは,include ではなく consist を用います。include と consist は同じように使われていることもありますが,include は限定度が低く,明確に限定したいときは consist のほうが good choice です。
以下の例文も,「対象となったのは,60歳以上で,糖尿病か高血圧のある患者だった」,つまりそれ以外の患者は対象にならないことを明確に限定するわけですから consist が good choice となりますね。
《例文》
The study consisted of patients over 60 years of age with diabetes or hypertension.
例文
(Q)What would be the best way to divide this into subgroups, do you think?
(A)Well, obviously subgroup A should consist only of class I alleles, then group B consisting of class I and class II or III.
単語チェック
- alleles 対立遺伝子,アレル
対訳
(Q)これをどのようにサブグループに分けるのが一番よいと思いますか。
(A)まず,グループA はクラスI 対立遺伝子だけにしないといけないでしょう。そうすると,グループB はクラスI+IIまたはクラスI+IIIですよね。
ミニ解説
(Q)の subgroup は1つの単語としてつながっています。これを sub group と離してしまうと,(Q)では間違えようがないですが,一般的には sub を submarine または submarine sandwich ととられかねないので避けたほうが無難です。英語で sub といえば潜水艦やサブマリンサンドイッチ(フランスパンのような細長いパンで作ったサンドイッチ)の略称として使われるのが一般的です。因みにサンドイッチチェーン店の SUBWAY は,「サブマリンサンド(sub)」と「あなたのお好み(your way)で作ります」を合わせた造語だそうです。
(A)の「~ですよね」は相当する英単語はなく,声の使い方がカギになります。最後に right? を付ける方法もありますが,これはかなりフランクな間柄で許されるもので,使い方を間違えると高慢な印象を与えてしまうので避けたほうがよいでしょう。「~じゃない?」「~かな」も,(A)の文章のままで,語尾を日本語で話すときの感情を声に乗せればよいのです。「~に決まっていますよ,いやだなあ(いまさら)」も,溜息混じりにその気分で言えば,ニュアンスは十分伝わります。