気楽に1分~脳に染み込む医学論文・頻出単語!

2013年5月まで配信していたメールマガジン『気楽に1分~脳に染み込む医学論文・頻出単語!』の全バックナンバーを公開します。

主要医学ジャーナル4誌(N Engl J Med,JAMA,BMJ,Lancet)に掲載された100論文の全単語から,英文の“核”とも言える動詞だけを集めて使用頻度を解析。このうちランキング上位の動詞を,ランダムに取り上げています。

バイリンガルの富田氏が語る「単語の持っているイメージ,ネイティブが感じるニュアンス」は,まさに“目からウロコ”の感涙もの!
1つの動詞を3つの違った角度から学習できるので,その使い方が徐々に脳に染み込みます。

月~金曜にわたり,毎日1単語ずつ,全100単語分のバックナンバーを順次公開していきます。お楽しみに!!

No. 51

allow

意味:可能にする,見込む,認める

単語のイメージ:(何かを)させてあげる

論文での使われ方をチェック!▼

例文

(1)The novel imaging technique allows for a detailed assessment of infarcted area.
(2)This additional analysis did not allow us to identify any prognostic marker. 

単語チェック

  • imaging technique 画像評価法
  • assessment 評価
  • infarcted area 梗塞部位
  • prognostic marker 予後予測因子

対訳

(1)新しい画像評価法により,梗塞部位の詳細な評価が可能になる。
(2)この追加解析では,予後予測因子を同定することができなかった。

ミニ解説

allow はそのイメージから,let に最も近い単語だと言えます。
「単語の意味」の多さでもお分かりのように,allow にはたくさんの役割が与えられています(ここの「与えられて~」は given ですが)。
この give も一緒に考えてみると,give permission (permit)=allow になります。permission(許可)を give する(相手にあげる)ことで相手は何かの行動をすることが許されます。
permission をあげる権利を持っている人が,「あなたがやりたいようにやっていいよ」と,相手に「させて“あげる”」わけです。何かを give できるのは圧倒的な権力ですから,give
permission (permit) はフォーマルな「許可」のイメージとなり,allow は「反対したり禁止したりしませんよ」という単純な「許可」や「許容」のイメージになります。両者の違いを以下の例文で確認しておきましょう。

《例文》
The city permitted the TV station to broadcast from the park.
(市はテレビ局に対し,公園から放送することを許可した)

Our supervisor allows us to dress casually on Fridays.
(上司から金曜日はカジュアルな服装にしてもよいといわれている)

また,allow の許可には「議論の余地」が残されており,事情を「しんしゃく」して次の結果を待つ余裕が与えられています。「見込む」はそれだけの「余裕を持たせておく」ことですから,以下では allow が使われます。

《例文》
We will allow 1 hour delay in case of bad weather.
(悪天候の場合は1時間まで遅れを見込んでいる)

英作文に挑戦!▼

問題

(1)この方法でABC変異を検出することが可能である。
(2)XX阻害薬を使えば正しいシグナル伝達を引き起こすことができる。

ヒント

※動詞はなるべく能動的に使います。
※英文法の基本はSV(主語+動詞)です。Vを能動的に使えるものをSにしましょう。
※(2)は「正しいシグナル伝達が引き起こされることを可能にする」と考えて。

  • 変異 mutation
  • 検出する detect
  • 阻害薬 inhibitor
  • (薬を)使う administer
  • シグナル(伝達) signal
  • 引き起こす trigger

解答例

(1)This approach allows us to detect ABC mutation.
(2)Administering XX inhibitor will allow the correct signal to be triggered.

ミニ解説

(2)は,Administering XX inhibitor will trigger the correct signal. としてもよいですが,解答例のように allow を一言入れると XX inhibitor が強調されます。
別のアングルからひとつ。料理レシピでよく登場する次の一文をご覧ください。

《例文》
Remove from heat and allow (it) to cool (in the pan.)
(鍋を火から下ろして余熱を取ります)

これは急速冷凍のような特殊な方法を使わずに,温めたもの(煮たもの)を常温で「冷ます」ときに用います。急速冷凍は無理やりこちらの都合で冷ますことになりますが,allow to cool は「もの」のペースで冷めるのを待つ,というイメージです。

会話での使われ方をチェック!▼

例文

※presenter(P)の発言に対して質問している設定
(P)We would need some device to visualize nucleic acid delivery to make our point.
(Q)How about a polymer beacon?  It will be tough to develop, but a beacon would allow us to see the delivery taking place.

単語チェック

  • device デバイス
  • visualize 可視化する
  • nucleic acid 核酸
  • delivery 伝達
  • make our point 我々の考えを主張する
  • beacon ビーコン(無線の標識)
  • taking place (伝達が)行われる場面

対訳

(P)我々の考えを主張するには核酸伝達を可視化できるデバイスが必要です。
(Q)ポリマー・ビーコンはどうですか。開発するのは難しいですが,ビーコンがあれば伝達の可視化が可能になります。

ミニ解説

(P)の device はデバイスと訳していますが,そもそもは「工夫する」という意味を持っている単語で,「装置」とも訳されます。動詞 devise の例文もみておきましょう。

《例文》
We devised a plan.
(われわれは策を練った)

一方,delivery には「出産」の意味もあります。根本の意味は「(何かが)遣わされる」ですから,神様からの贈り物の気分があるのでしょう。ピザ屋の delivery はさすがに「遣わされる」では大げさですが,誰かが「運んでくれる」という軽い意味で使われている一例です。
もうひとつ,Lord's Prayer(主の祈り)の中に deliver us from evil という下りがあります。これは,「邪心から我々をお解き放しください(悪から我々を救いたまえ)」というような意味です。邪悪なものがあるところから,清らかなところに我々の心を「運んでください」という意味ですね。
allow とその類語である permit との文法的な違いもチェックしておきましょう。permit は It を主語にする受動態の形で使うことができますが,allow はその形が使えません。したがって,以下の permit を allow に置き換えることはできません。

《例文》
It is not permitted to smoke in the laboratory.
(実験室での喫煙は禁止されている)

Weekly Topic

ニュースリリースで医学英語を学ぼう!
日本語要約と単語和訳付きです。

★注目トピック

テロメアで余命が分かる?
テロメア(染色体の末端部にあるDNA鎖)の長さにより,平均余命が予測できることが明らかになった。テ…

メディカル英単語

毎回,3つの英単語を楽しく覚えようというムービープログラムです。

★No.64 今週の英単語

流動食|経管栄養|非経口栄養

医学ニュース de 英語

海外学会+E

海外の学会で注目されたトピックを紹介しています。

米国臨床腫瘍学会より

 

スマイリーのバイリンガル
医学ニュース
 

バイリンガル・パーソナリティのスマイリーが,英語と日本語のチャンポンでお届けする楽しいポッドキャスト番組です。

No.9 米国心臓協会年次学術集会より:“老け顔”の人は心疾患にご用心?!