気楽に1分~脳に染み込む医学論文・頻出単語!

2013年5月まで配信していたメールマガジン『気楽に1分~脳に染み込む医学論文・頻出単語!』の全バックナンバーを公開します。

主要医学ジャーナル4誌(N Engl J Med,JAMA,BMJ,Lancet)に掲載された100論文の全単語から,英文の“核”とも言える動詞だけを集めて使用頻度を解析。このうちランキング上位の動詞を,ランダムに取り上げています。

バイリンガルの富田氏が語る「単語の持っているイメージ,ネイティブが感じるニュアンス」は,まさに“目からウロコ”の感涙もの!
1つの動詞を3つの違った角度から学習できるので,その使い方が徐々に脳に染み込みます。

月~金曜にわたり,毎日1単語ずつ,全100単語分のバックナンバーを順次公開していきます。お楽しみに!!

No. 42

give

意味:与える,投与する,示す,考慮する

単語のイメージ:誰かに何かを持たせる

論文での使われ方をチェック!▼

例文

(1)We gave vitamin D supplements to both groups during the study.
(2)Dividing the total number of deaths for a specified time period by the total population for the same time period gives a crude death rate for the total population.

単語チェック

  • supplements サプリメント
  • Dividing ~ by ... ~を...で割ると
  • total population 総人口
  • crude death rate 粗死亡率

対訳

(1)試験中に両群に対してビタミンDのサプリメントを投与した。
(2)ある期間の死亡数をその期間の総人口で割ると,総人口に対する粗死亡率が出る。

ミニ解説

give の本義は,「あるものを一方から他方へ移動し,誰かに持たせる」です。そこから,「与える,投与する,示す」といった意味が派生してきます。
(2)のように,計算や分析などによって何かの結果を出すときも give が使用されます。
粗死亡率(crude death rate: CDR または crude mortality rate: CMR)は一般的な指標ですが,これを使って年齢構成が異なるもの同士を比べても,正しい比較とはなりません。例えば,高齢化が進んでいる日本では粗死亡率は年々高くなっています。そこで,年毎の比較をする際に用いられるのが,年齢の影響を補正した age-adjusted mortality rate(年齢調整死亡率)です。年齢調整死亡率は,調査対象となる集団の各年齢層の死亡率を,基準人口(昭和60年の計120,287,000人)の各年齢層の人口に当てはめて算出したもので,それが客観的指標となるわけです。

英作文に挑戦!▼

問題

(1)その結果の評価は以下に示す。
(2)利便性を考慮すると,それらは外来治療において理想的な治療薬だと思われる。

ヒント

※(2)の「~を考慮すると」は文頭で Given を使って。
※「~だと思われる」は appear to be ~ を使ってみましょう。

  • 評価 evaluation
  • 下に below
  • 利便性 convenience
  • 外来治療 outpatient treatment
  • 理想的な ideal
  • 治療薬 therapeutic agent

解答例

(1)An evaluation of the results is given below.
(2)Given their convenience, they appear to be ideal therapeutic agents for outpatient treatment.

ミニ解説

(2)の Given は「~を考慮すると」の意味で使われています。このように,given には if や since,as,because のような接続詞的用法があります。
同様の使い方で,Given の後ろに that 節をとることもあります。一緒に覚えておきましょう。

《例文》
Given that he's inexperienced, he has done a good job.
(未経験であったことを考えると,彼はいい仕事をしてきた)

これは,次のように書き換えることもできます。

《例文》
Considering that he's inexperienced, he has done well.

ほかにも,given には独特な使い方があります。

◇given の名詞的用法:It is a given that ~「~は当然のことだ」

《例文》
It is a given that the sun rises in the east.
(太陽が東に昇るのは当然のことだ)

◇given の形容詞的用法:given ~「既定の,定められた」

《例文》
Response to a given therapy.
(既定の治療に対する反応)

The students all have to use a given textbook.
(生徒は皆,既定の教科書を使わなければなりません)

会話での使われ方をチェック!▼

例文

(Q)Could you give us a detailed description of your study objectives?
(A)The objective of this study is to prevent and manage chemotherapy-related diarrhea in patients with colorectal cancer.

単語チェック

  • detailed description of ~ ~についての詳しい説明
  • chemotherapy-related 化学療法に関連した
  • diarrhea 下痢
  • colorectal cancer 大腸がん,結腸・直腸がん

対訳

(Q)研究の目的を詳しく説明していただけますか。
(A)この研究の目的は,大腸がん患者の化学療法に関連した下痢の予防・管理です。

ミニ解説

(A)の to prevent and manage は,prevention and management と名詞での表現に変えることもできそうですが,目的について述べる場合は,通常,動詞(to不定詞)のほうがよりよい選択となります。

《例文》
The objective of our study was to assess the use of colchicines to prevent this complication.
(我々の試験の目的は,この合併症の予防のためにコルヒチンの使用を検討することだった)

この例文も The objective ... was to assess ~ と to 不定詞が使われていますね。一方,その後のコルヒチンについて説明している to prevent は,名詞を使って for the prevention of とすることも可能です。しかし,前者はわずか2語,後者は4語も必要ですから,簡潔で明快な文章とするには,やはり to prevent がお勧めです。
名詞の prevention がぴたりとはまる文章も紹介しておきましょう。

《例文》
Little is known about the prevention of postpericardiotomy syndrome.
(心膜切開後症候群の予防についてはほとんど知られていない)

(編集部・Rick McGuire)

Weekly Topic

ニュースリリースで医学英語を学ぼう!
日本語要約と単語和訳付きです。

★注目トピック

テロメアで余命が分かる?
テロメア(染色体の末端部にあるDNA鎖)の長さにより,平均余命が予測できることが明らかになった。テ…

メディカル英単語

毎回,3つの英単語を楽しく覚えようというムービープログラムです。

★No.64 今週の英単語

流動食|経管栄養|非経口栄養

医学ニュース de 英語

海外学会+E

海外の学会で注目されたトピックを紹介しています。

米国臨床腫瘍学会より

 

スマイリーのバイリンガル
医学ニュース
 

バイリンガル・パーソナリティのスマイリーが,英語と日本語のチャンポンでお届けする楽しいポッドキャスト番組です。

No.9 米国心臓協会年次学術集会より:“老け顔”の人は心疾患にご用心?!