気楽に1分~脳に染み込む医学論文・頻出単語!

2013年5月まで配信していたメールマガジン『気楽に1分~脳に染み込む医学論文・頻出単語!』の全バックナンバーを公開します。

主要医学ジャーナル4誌(N Engl J Med,JAMA,BMJ,Lancet)に掲載された100論文の全単語から,英文の“核”とも言える動詞だけを集めて使用頻度を解析。このうちランキング上位の動詞を,ランダムに取り上げています。

バイリンガルの富田氏が語る「単語の持っているイメージ,ネイティブが感じるニュアンス」は,まさに“目からウロコ”の感涙もの!
1つの動詞を3つの違った角度から学習できるので,その使い方が徐々に脳に染み込みます。

月~金曜にわたり,毎日1単語ずつ,全100単語分のバックナンバーを順次公開していきます。お楽しみに!!

No. 22

detect

意味:検出する,認める

単語のイメージ:何かがあると感知する,分かる

論文での使われ方をチェック!▼

例文

(1)Anti-acetylcholine receptor antibodies were detected in 90% of patients with myasthenia gravis.
(2)Statistical power is the ability to detect a difference between treatment groups, if a true difference exists.

単語チェック

  • Anti-acetylcholine receptor antibodies 抗アセチルコリンレセプター抗体
  • myasthenia gravis 重症筋無力症
  • Statistical power (統計学的)検出力
  • ability 能力
  • exist 存在する

対訳

(1)抗アセチルコリンレセプター抗体は,重症筋無力症患者の90%に認められた。
(2)検出力とは,真に差が存在する場合に,治療群間の差が検出できる能力のことである。

ミニ解説

detectは,検査で何らかの異常所見を「検出する(認める)」と表現する際によく使われ,医学論文では,検出力計算の結果を記述する部分でもよく見かけます。治療法の間に統計的な有意差があるかどうかを比較検討するために臨床試験を実施し,実際に差が存在する場合,その差を確実に検出できるならば,その試験は十分な検出力 statistical power を持っている,ということになります。
(1)に出てくる myasthenia gravis は,重症筋無力症という一つの病名です。gravis は「平均よりも強い病原性がある」ことを意味する単語で,他に gravis が入った言葉に,icterus gravis neonatorum(新生児重症黄疸)があります。

英作文に挑戦!▼

問題

(1)米国食品医薬品局は,卵巣がんを検出する新しい血液検査を承認した。
(2)異なる患者群からの分離株では,抗真菌活性の差は検出できなかった。

ヒント

  • 米国食品医薬品局 FDA (Food and Drug Administration)
  • 卵巣がん ovarian cancer
  • 分離株 isolate(~からの分離株:the isolates from)
  • 抗真菌活性 antifungal activity

解答例

(1)The FDA has approved a novel blood test to detect ovarian cancer.
(2)We were unable to detect a difference of antifungal activity in the isolates from the different patient groups.

ミニ解説

detectは「覆いを取る」という意味を持つ単語で,「(存在を)見つける」,「(事実を)見抜く」と表現する際に広く使われます。(1)は「卵巣がんを検出する(見つける)ための検査」ですから,detect が good choice となるわけです。
論文で,治療群間や検体間の「差を検出する」と表現したい場合は,(2)の解答例のように,detect の後ろの目的語に difference を持ってきます。
名詞形 detection が入った文も見ておきましょう。

《例文》
Sensitivity and specificity were estimated for the detection of trisomy 21 using nasal bone.
(鼻骨を使用した21トリソミー検出法の感度と特異度を評価した)

会話での使われ方をチェック!▼

 例文

(Q)Why do you think there was no significant difference detected between the two arms?
(A)I think it is due to the low relative dose intensity of the drug in arm A.

単語チェック

  • significant difference 有意差
  • arms 群
  • relative dose intensity 相対用量強度(RDI)。決められた(または標準)投与量に対する実際の平均投与量の割合を示す尺度。

対訳

(Q)2群間で有意差が得られなかったのは何故だと思いますか。
(A)A群の薬剤の相対用量強度が低かったためだと思います。

ミニ解説

比較試験で必ず登場する「~群」を表す言葉として,arm 以外に group もよく用いられます。これらの単語はほぼ同様に使うことができますから,今回の会話例にある arm は group に置き換えることも可能です。ただ,例えばそれが3群以上での比較試験だった場合に,プラセボ群を除く2つ以上の治療群をまとめて表現したいときは,treatment groups とするのが一般的です。もちろん,各群を別個に表現する場合は,arm と group のどちらを使ってもOKです。(編集部・Rick McGuire)

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