気楽に1分~脳に染み込む医学論文・頻出単語!

2013年5月まで配信していたメールマガジン『気楽に1分~脳に染み込む医学論文・頻出単語!』の全バックナンバーを公開します。

主要医学ジャーナル4誌(N Engl J Med,JAMA,BMJ,Lancet)に掲載された100論文の全単語から,英文の“核”とも言える動詞だけを集めて使用頻度を解析。このうちランキング上位の動詞を,ランダムに取り上げています。

バイリンガルの富田氏が語る「単語の持っているイメージ,ネイティブが感じるニュアンス」は,まさに“目からウロコ”の感涙もの!
1つの動詞を3つの違った角度から学習できるので,その使い方が徐々に脳に染み込みます。

月~金曜にわたり,毎日1単語ずつ,全100単語分のバックナンバーを順次公開していきます。お楽しみに!!

No. 14

develop

意味:開発する,発現する,発症する,発達させる

単語のイメージ:きちんと段階を踏んで,何かに到達する

論文での使われ方をチェック!▼

例文

(1)Females are more prone to develop systemic lupus erythematosus than males.
(2)Researchers have developed a mathematical model to predict immune responses to influenza A infection.

単語チェック

  • be prone to ~しやすい,~の傾向がある
  • systemic lupus erythematosus 全身性エリテマトーデス(SLE)
  • mathematical model 数学モデル
  • predict 予測する
  • immune responses 免疫応答
  • influenza A インフルエンザA型
  • infection 感染

対訳

(1)女性は男性よりも全身性エリテマトーデスを発症しやすい。
(2)研究者は,インフルエンザA型感染に対する免疫応答を予測する数学モデルを開発した。

ミニ解説

develop には他動詞と自動詞があり,上記の例文2つは目的語をともなう他動詞ですが,主語が人ではなく病気などの場合は目的語をとらない自動詞になります。
(1)の be prone to は,よく似た言葉に be likely to がありますが,prone は何かからの影響を受けやすい,感受性が強いといったことを表すのに対し,likely は何かが起こる確率が高い,あるいは期待されるといった場合によく使われます。

《例文》
People with certain genetic markers are more prone to develop cancer.
(ある種の遺伝子マーカーを持っている人はがんを発症しやすい)

You are likely to get scared if someone points a gun at you.
(誰かに銃を突きつけられたら恐怖を感じるはずだ)

英作文に挑戦!▼

問題

(1)この会議は,診療ガイドライン策定のために開催された。
(2)日本では女性の32人に1人が子宮がんを発症する。

ヒント

※ガイドラインは通常複数形。
※「策定する」はいろいろな動詞が使えますが,ここでは develop を使って。
※(2)は will を使って。

  • 会議 conference
  • 診療ガイドライン clinical practice guidelines
  • 開催する hold
  • 32人に1人 one out of 32 women
  • 子宮がん uterine cancer

解答例

(1)This conference was held to develop clinical practice guidelines.
(2)One out of 32 women in Japan will develop uterine cancer.

ミニ解説

develop の語源は「包みを解く」です。徐々に成長し,大きくなる意味が含まれるので,(1)のような文脈では,「策定する」の英訳として develop を使うことができます。
名詞形の development は小児の発達に関連した文献でよく出てきます。

《例文》
This page presents an overview of child development from birth to 6 years of age.
(このページでは,出生から6歳までの小児発達の概要を述べている)

(2)の文章は will が入っていないと,今日あるいはここ最近の話のようでもあり,ちょっと分かりにくくなります。willを入れることで,将来のこと,つまり生涯リスクについて話していることが明確になります。また,in Japan は,場所を示す言葉ということで文末に置きがちですが,uterine cancer ではなく women を説明するものなので,混乱を招かないように women の直後に置くのが正解です。

会話での使われ方をチェック!▼

 例文

(Q)What was the risk of developing severe neutropenia requiring hospitalization?
(A)We have previously reported that 10% of the patients receiving high-dose therapy experienced severe neutropenia.

単語チェック

  • neutropenia 好中球減少(症)
  • hospitalization 入院
  • previously 以前に
  • high-dose therapy 高用量療法

対訳

(Q)入院を要する重症の好中球減少症の発現リスクは何でしたか。
(A)我々が以前に行った報告では,高用量療法を受けた患者の10%で重症の好中球減少症が発現していました。

ミニ解説

(A)は以前報告した試験内容に言及しているので,動詞は report を使っています。もし,今,自分が発表した試験について述べるのであれば,以下のようにreport ではなく observe を使った言い方になります。また,統計的有意差の有無について述べるときは,何と比べたか(compared to~)を加えるのをお忘れなく。

《例文》
We observed neutropenia in 10% of our patients but this did not reach statistical significance compared to placebo.
(好中球減少症は患者の10%で認められましたが,プラセボと比べて統計的有意差には達しませんでした)

(編集部・Rick McGuire)

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