2013年5月まで配信していたメールマガジン『気楽に1分~脳に染み込む医学論文・頻出単語!』の全バックナンバーを公開します。
主要医学ジャーナル4誌(N Engl J Med,JAMA,BMJ,Lancet)に掲載された100論文の全単語から,英文の“核”とも言える動詞だけを集めて使用頻度を解析。このうちランキング上位の動詞を,ランダムに取り上げています。
バイリンガルの富田氏が語る「単語の持っているイメージ,ネイティブが感じるニュアンス」は,まさに“目からウロコ”の感涙もの!
1つの動詞を3つの違った角度から学習できるので,その使い方が徐々に脳に染み込みます。
月~金曜にわたり,毎日1単語ずつ,全100単語分のバックナンバーを順次公開していきます。お楽しみに!!
No. 6
calculate
意味:計算する,算出する
単語のイメージ:単語の意味と同じく『計算する』
例文
(1)BMI was calculated as weight in kilograms divided by height in meters squared.
(2)Physical and mental health status were used to calculate active life expectancy.
単語チェック
- BMI Body Mass Index(体格指数)の略
- weight 体重
- divided by ~で割る
- height 身長
- squared 2乗の,平方の
- health status 健康状態
- active life expectancy 活動的平均余命
対訳
(1)BMIは,体重(kg)を身長(m)の2乗で割って算出した。
(2)活動的平均余命の計算には,身体的・精神的健康状態が用いられた。
ミニ解説
calculate は,論文中の解析方法を説明する部分(Statistical Analysisなど)でよく出てきます。
(1)は,BMIの計算方法を説明するときに使われる典型的な表現です。論文中の研究方法や結果はおおむね過去形で記述されていますが,患者に対してBMIを説明する場面では現在形が用いられます。
《例文》
To calculate BMI, divide your weight in kilograms by your height in meters squared.
[BMIは体重(kg)を身長(m)の2乗で割って計算します]
日本語の説明文では,「BMI=体重(kg) ÷ { 身長(m) × 身長(m) }」と表現するのが一般的です。
「÷」はdivide,「×」はmultiplyです。計算式を英語で書くと,以下のようになります。
《例文》
16÷2=8 Sixteen divided by two equals eight.
2×3=6 Two multiplied by three equals six.
※equals の代わりにis を使うとカジュアルな口語表現になります。
問題
(1)我々はオッズ比と95%信頼区間を計算した。
(2)化学療法の費用対効果を計算することは可能である。
ヒント
- オッズ比 odd ratio(ある事象の起こりやすさを2つの群で比較して示す尺度で,主にケースコントロール研究や横断研究で使用される。ある条件が「ある場合」のオッズを「ない場合」のオッズで割って求める)
- 信頼区間 confidence interval(その範囲内に真値が存在すると確信されている数値の範囲)
- 化学療法 chemotherapy
- 費用対効果 cost-effectiveness
- 可能である possible
解答例
(1)We calculated odds ratios and 95% confidence intervals.
(2)It is possible to calculate cost-effectiveness of chemotherapy.
ミニ解説
calculateは論文中の解析方法を説明する部分でよく出てきます。odds ratio は略して OR,confidence interval は CI です。結果を表記するときは,通常(オッズ比,95%信頼区間)の順序で(OR, 4.72; 95% CI, 2.31 to 8.61)のように記載されています。
(2)のcost-effectiveness(費用対効果)は,医療経済学分野の研究でよく出てくる言葉です。
例文
(Q)What was used to calculate relative risk?
(A)It was calculated using Cox proportional hazards model.
単語チェック
- relative risk 相対リスク(ある事象が一定期間内で起こる確率を,リスク因子がある場合をない場合で割った比率のこと。コホート研究や無作為化臨床試験で用いられる。ケースコントロール研究などでは相対リスクの近似値としてオッズ比が使われる)
- Cox proportional hazards model コックス比例ハザードモデル(多変量解析の手法のひとつ)
対訳
(Q)相対リスクは何を使って計算したのですか。
(A)コックス比例ハザードモデルを使いました。
ミニ解説
質問するときは,最後に「?」の付く英文にするのが基本です。例えば,質問文の前に I am curious about が付いた以下の文は,質問というよりは意見(statement)を述べている印象になります。
《例文》
I am curious about what was used to calculate relative risk.
(何を使って相対リスクを計算したのか興味があります)
学会などの質疑応答で,まず自分が興味を持ったことを相手に伝えたい場合は,以下のように文章を区切る言い方がおすすめです。
《例文》
I am curious about your data: What was used to calculate relative risk?
(あなたのデータに興味があるのですが,相対リスクは何を使って計算したのですか)
(編集部・Rick McGuire)