気楽に1分~脳に染み込む医学論文・頻出単語!

2013年5月まで配信していたメールマガジン『気楽に1分~脳に染み込む医学論文・頻出単語!』の全バックナンバーを公開します。

主要医学ジャーナル4誌(N Engl J Med,JAMA,BMJ,Lancet)に掲載された100論文の全単語から,英文の“核”とも言える動詞だけを集めて使用頻度を解析。このうちランキング上位の動詞を,ランダムに取り上げています。

バイリンガルの富田氏が語る「単語の持っているイメージ,ネイティブが感じるニュアンス」は,まさに“目からウロコ”の感涙もの!
1つの動詞を3つの違った角度から学習できるので,その使い方が徐々に脳に染み込みます。

月~金曜にわたり,毎日1単語ずつ,全100単語分のバックナンバーを順次公開していきます。お楽しみに!!

No. 20

examine

意味:検査する,検討する,調査する

単語のイメージ:どういうものかを詳しく調べる

論文での使われ方をチェック!▼

例文

(1)The safety of sorafenib was examined in patients age 70 years or older with renal cell carcinoma.
(2)We examined whether the differences in adherence were attributable to the child's asthma severity.

単語チェック

  • sorafenib ソラフェニブ(根治切除不能または転移性の腎細胞がん,切除不能な肝細胞がんに適応のある分子標的治療薬)
  • renal cell carcinoma 腎細胞がん
  • adherence (服薬)アドヒアランス(患者自身が治療方針の決定に参加し,その決定に沿った服薬や治療法に従い,守っていくこと。患者に積極的姿勢が見られる場合,“アドヒアランス良好”という)
  • be attributable to~ ~による,~に起因する
  • asthma 喘息
  • severity 重症度

対訳

(1)70歳以上の腎細胞がん患者に対するソラフェニブの安全性を検討した。
(2)(我々は)アドヒアランスの差がその小児の喘息重症度によるものかどうかを調査した。

ミニ解説

examine は研究目的を記述する部分でよく使われます。(1)は,研究者がソラフェニブの安全性に関する investigation(研究・調査)を実際に行ったことが前提の文章なので,examined を investigated に置き換えても問題ありません。
ただ,(2)も同様というわけではなく,この文章が新たな研究ではなく,既存のデータを元に分析・評価を行ったという前提であれば,examined の代わりになるのは investigated ではなく,analyzed や evaluated です。

英作文に挑戦!▼

問題

(1)飲酒とXX病の関連性について検討した。
(2)1カ月間,毎週検査を行った。

ヒント

※(1)は我々を主語にして。
※(2)は患者を主語にした受動態をつくり,1カ月間(for 1 month)は文末に。

  • 飲酒 alcohol intake
  • 関連性 association
  • 毎週 weekly

解答例

(1)We examined the association between alcohol intake and XX disease.
(2)Patients were examined weekly for 1 month.

ミニ解説

examine は,「検査する」「検討する」「調査する」のほかに「評価する」「分析する」「診察する」という日本語に対応することもあります。ラテン語の examinare(天秤で重さを調べる)が原義なので,“正確にはかる”という意味が含まれていることを覚えておくと,英語論文を書く際,examine を使う場面が増えてくるかもしれませんね。名詞 examination が入った文も見ておきましょう。

《例文》
A patient's physical examination is the most important step of clinical diagnosis for XX disease. 
(患者の身体所見は,XX病の臨床診断の最も重要なステップである)

(2)は英語の解答例をそのまま日本語にすると「患者は1カ月間,毎週検査を受けた」となります。しかし,このような場合,日本語では「患者」よりも「研究者(医療者)」や「検査」を主語にする形が一般的なので,問題文では研究者を隠れた主語にしています。こんなところに,英語と日本語の主語の取り方の違いが感じられます。

会話での使われ方をチェック!▼

 例文

(Q)What is the purpose of your next study?
(A)It is to examine the association between duration of NSAID exposure and cardiovascular risk. 

単語チェック

  • association 関連性
  • NSAID 非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drugの略)
  • exposure 曝露
  • cardiovascular 心血管の

対訳

(Q)次の試験の目的は何ですか。
(A)NSAID の曝露期間と心血管リスクとの関連性を評価することです。

ミニ解説

(Q)の purpose は aim に換えても問題ありません。両者の意味は非常に似ており,実際,purpose の定義は "aim or goal",aim は "intention(意図すること)or purpose" となっています。
(A)に登場する NSAID exposure は,NSAID use に言い換えることも可能です。ただ,「現在,NSAID を飲んでいる」というときも use は使えますが,exposure にはそういうニュアンスはなく,「これまでに,ある期間 NSAID を定期的に飲んでいた」というニュアンスが伝わる言葉です。
exposure は,身体に害のある物質や状況に曝されることを意味しているので,ほかにも,放射線(radiation exposure),タバコの煙(exposure to tobacco smoke),大気汚染(exposure to air pollution),騒音(noise exposure),日光(sun exposure),鉛(lead exposure)など,幅広く使うことができます。(編集部・Rick McGuire)

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