とある町のとある中規模病院(サクラ病院)を舞台に,外国人の患者さんとナースとのやりとりを軸に展開していく病院英会話シリーズの病棟編です。前回の外来編同様,「使えるフレーズ」がどんどん出てきますから,毎週少しずつ覚えるようにしてみましょう。そうすれば,いつの間にかあなたも,外国人の患者さんに英語で話しかけることができるようになりますよ。リスニング学習や発音練習にも,ぜひお役立てください。
執筆: | 野田小枝子(津田塾大学大学院教授・東京女子医科大学非常勤講師) | |
協力: | 英文校閲 スコット・レイノルズ | |
日本語ストーリー | 廣岡裕江(大阪大学医学部附属病院臨床検査部 看護師) | |
中川明美(大道クリニック透析室 看護師) |
◆本シリーズは今回で最終回です。ご愛聴いただき,どうもありがとうございました。
◆書籍はこちら↓ 本シリーズを再構成・加筆し,アップグレードしています。
『メディエイゴBOOKS ナースのための病院英会話 外国人患者の希望の星になろう!』
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Please bend your left knee and lift up a little.
左膝を立てて少し腰を上げてください。
◆ベッド上での排泄を介助する
ナースコールで依頼があり,これからジャクソンさん(J)の排せつ介助を行います。※N:看護師
N:I’ll put the urinal over here.
こちらに尿器をあてますね。
J:OK. I might have to do a bowel movement.
はい。あと,便も出るかもしれません。
N:I’ll put the bedpan under here, too. Please bend your left knee and lift up a little.
では便器も当てておきますね。左膝を立てて少し腰を上げてください。
―便器を差し込み終えて―
N:Does it hurt anywhere?
痛いところはないですか。
J:I’m all right.
大丈夫です。
N:I’ll be in the nurses’ station. Please call me using this when you are done.
私はナースステーションにいますね。終わったらこれ(ナースコール)で呼んでください。
―ナースコールで呼ばれた看護師が戻って来て―
J:I’m done.
終わりました。
N:You must feel much better. I’ll wash you with warm water.
すっきりしましたね。(お下を)お湯で洗いましょう。
J:Thank you for doing this. It must be unpleasant.
汚いのに(不愉快なことなのに),すみません。
N:You are welcome. No problem.
気にしないでください。大丈夫ですよ。
【ワードチェック!】
urinal:尿器 do a bowel movement:便が出る(bowel:腸) bedpan:便器 knee:ひざ lift up:上げる[ここでは「腰を上げる」と意訳] anywhere:(疑問文で)どこか nurses’ station:ナースステーション when you are done:終わったら unpleasant:不愉快な You are welcome:どういたしまして,お気になさらずに
【解 説】
「便が出る」は,患者さんが言う場合 do a bowel movement か move my bowels が多いでしょう。Do you think you might do a bowel movement?(便が出そうですか)などと聞けます。なお辞書に出ている defecate(排泄する), empty the bowels, relieve the bowels(relieve:解放する)などは他人について客観的に言うときの表現なので,患者さんに対して言うのは適切ではありません。また,俗語や卑語も多くあるので気をつけたいところです。
また,「腰」とか「お下」あるいは「お尻」などは,状況でわかっていますから,特にそういう単語を言う必要はありません。「腰を上げて」は lift up,「お下を洗う」は wash you で十分です。